研究課題/領域番号 |
15K01064
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
宮崎 佳典 静岡大学, 情報学部, 准教授 (00308701)
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研究分担者 |
小山 由紀江 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20293251)
田中 省作 立命館大学, 文学部, 教授 (00325549)
長谷川 由美 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (40585220)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | e-ラーニング / 外国語教育 / コーパス / 技術文書ライティング / チャンク |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,技術系の人間に必要不可欠な,英語による技術文書作成を支援するアプリケーションを開発することである.具体的には,ユーザが英文を入力すると,技術論文を集めたコーパスの中から類似した文を抽出し例文として提示し,必要に応じてその例文を簡略化して表示する.また,ユーザの学習履歴から英語修得レベルを推測し,提供する例文をアダプティブに変化させるパーソナライゼーションの仕組みを持たせる.以上のような実用性の高い英文書作成支援システムをWeb上に公開し,常に利用可能な環境を提供することで,理系学部の学生対象の英語教育に資することも本研究の副次的目的である. 初年度は,Webアプリケーション全体の枠組みが大方完成しているのを鑑み,前頁の「解決する問題」に記述されている項目について理論的なアプローチを精査した.特に句構造やチャンク化処理ならびにその高速化,パーソナライゼーション,そしてユーザビリティを考慮したインタフェース開発について検討を行った.特に本年度はWebアプリケーション全体の枠組みと理論構築に専念し,研究代表者ならびに研究分担者間でミーティングを行い,以下を討議した:・システム処理の高速化(類似文の検索法の改善,処理の並列化など) ・句構造,チャンク構造を勘案した類似度計算のアルゴリズム立案 ・簡略化機能による文コンパクト化 ・パーソナライゼーションへのアプローチの決定.また,データの流れを精査しながら,システムの実現可能性/可用性についても議論した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はWebアプリケーション全体の枠組みと理論構築に専念することであり,研究代表者特に情報系(システム開発側)研究分担者間でミーティングを頻繁に行うことが出来,Webアプリケーションの大枠について検討を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
2年目は初年度に詳細に行ったWebアプリケーションの全体の枠組みに加え,・特徴表現に対する英文の尤度計測 ・学習者特性を考えたインタフェースの考案 についても十分に議論を加えた後,システムのプロトタイプを元に(非公開)Webアプリケーションとして実装し,サーバへの移行を行う.現時点で動作しているアプリケーション(言語)はApache, PHP, Perl, Javascript, HTML, そしてDBMSとしてMySQLの組み合わせである.またコーパスには,名古屋工業大学の研究グループによって編纂されたコーパスの使用許可をすでに得ており,総計で既に30万文を超えている.実用性を考えれば,類似の文がコーパス内に存在することが本システムの特性から必須である.また過去の研究成果からも学習者の研究分野に近い分野のコーパスが他のコーパスに比べ有用であることを踏まえ,コーパスデータの拡充を計画している.完全に公開用Webアプリケーションとして移行するのは年度半ばになると予想している.併せて,内部の情報系院生などによるパイロット実験を実施し,特にデータの流れを含むモジュール間の接続処理の動作確認作業を行う.また,年度末あるいは最終年度に国外での実験を計画しているため,平成28年度中に実験受け入れ先担当者との打ち合わせを行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
次の理由で残額が生じてしまったため(研究分担者名). ・昨年度で任期満了だった学部役職を,諸案の事情により本年度も担当せざるを得なくったことによる(田中). ・勤務校のマンパワーの関係で出張など校外にでるのが非常に難しい状況となった.それに伴い学会に参加することができなくなった(長谷川).
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次年度使用額の使用計画 |
次の使用計画を立てている(研究分担者名). ・昨年度校務の関係で,かなわなかった学会参加等に活用する(田中). ・今年度は8月に北海道で開かれるJACETなどにも参加し,積極的に活動したいと考えている(長谷川).
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