ソフトウェア技術者は、高品質なソフトウェアを開発するために、定量的なデータに基づく継続的な改善スキルを修得することが重要である。そこで、本学では、米国カーネギーメロン大学ソフトウェアエンジニアリング研究所(SEI)の開発したPSP(Personal Software Process)を教育している。しかし、スキルの修得には多大な時間を要するため、すべての学生が修得できている訳ではない。そこで、そキルを修得できた学生とそうでない学生との違いをPSPのプロセスデータを活用して、動機づけの観点から分析し、効果的な学習法と指導法を研究する。また、本手法を継続的に改善していくための仕組みを考案する。 平成28年度は、学習者モデルを洗練し、外部要因としての環境・組織要因を分析し、指導案の提案を行った。学習者モデルに関しては、平成28年度受講生のデータを動機づけプロセスの状態遷移モデルに適用し、分析した。これにより、評価基準の改善と指導方法の提案を行った。この際、外部要因による影響が大きいことが判明したため、こちらの研究を先行的に実施した。外部要因としては、組織論的期待モデルにおける環境・組織要因である環境不確実性、コンテクスト、組織構造、組織風土および組織プロセスの5つの要因を用いた。これらの要因から個人プロセスへの影響を分析し、状態遷移モデルを改善した。また、過去の事例に適用することにより、提案モデルの正当性と指導案の妥当性を検証した。
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