ソフトウェア技術者は、高品質なソフトウェアを開発するために、定量的なデータに基づく継続的な改善スキルを修得することが重要である。そこで、本学では、米国カーネギーメロン大学ソフトウェアエンジニアリング研究所(SEI)の開発したPSP(Personal Software Process)を教育している。しかし、スキルの修得には多大な時間を要するため、すべての学生が修得できている訳ではない。そこで、スキルを修得できた学生とそうでない学生との違いをPSPのプロセスデータを活用して、動機づけの観点から分析し、効果的な学習法と指導法を研究した。平成29年度は、研究計画の最終年度にあたり、主にプロスデータの分析と学習者モデルの洗練を行った。 プロセスデータ分析に関しては、主に欠陥に関するPSPのプロセスデータ(欠陥種別、欠陥の埋め込みおよび除去フェーズおよび欠陥修正時間など)の修正履歴とPIP(プロセス改善提案)に記載された改善項目の相関を分析し、受講生に対するインストラクタの関わり方や指導法について検討した。 学習者モデルに関しては、動機づけモデルに基づく状態遷移モデルを改善し、妥当性を検証した。特に、組織論的期待モデルにおける環境・組織要因(環境不確実性、コンテクスト、組織構造、組織風土および組織プロセス)と学習者のプロセスへの影響を分析することにより、モデルを洗練した。
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