研究課題
メタボリック症候群の予防・改善に、食と運動の是正は不可欠である。しかし、平成12年から健康日本21を実施・介入したにもかかわらず、運動量や糖尿病患者数は悪化している。この結果は、従来型の情報提供による介入・健康教育の限界を示唆している。加えて、支援対象の大多数を占める中年男性勤労者を取り巻く環境には、以下のような問題がある。1. 高血圧、高脂血症、高血糖などの危険因子が集積していても、病識に乏しく、生活習慣改善のモチベーションも低い傾向にある。 2. そのため検査データの現状把握、疾病・合併症理解による危機感を「あおる」従来型介入や啓発では対象者の興味を喚起できず、成果も期待できない。 3. 地方では都市部のような質の高い対面型保健指導の機会が少ないという地理的格差が存在。 4. 小規模事業所では就業時間内の対面型保健指導の実施が困難である。 5. 特に中小の健保組合・事業所では、メタボリック症候群対策の予算が確保できない。このような状況のもと、我が国のメタボリック症候群を予防・改善するためには、モチベーションの低いハイリスク者であっても結果が期待でき、低コストかつ時間的・地理的制約が少ない保健指導プログラムの開発が喫緊の課題である。そこでeラーニングを開発。内容は、より多くの方が取り組めるよう、食事「和食・よく噛む・摂るなら至福の間食」、運動は自体重を負荷にしたスローで実施する4秒筋トレ(スクワット、腕立てふせ、腹筋)に絞って設定した。4週間継続した72名については、男性の開始時が腹囲88.3㎝・体重72.3㎏・BMI24.7であったのに対し、4週間後には腹囲 -2.7㎝・体重 -1.9㎏・BMI -0.6、女性の開始時が腹囲82.0㎝・体重56.7㎏・BMI22.8であったのに対し、4週間後には腹囲 -2.6㎝・体重 -1.6㎏・BMI -0.5であった。
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