研究課題/領域番号 |
15K01090
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
土肥 紳一 東京電機大学, 情報環境学部, 教授 (00227703)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | モチベーション / 二酸化炭素濃度 / SIEM / 温度 / 湿度 / プログラミング入門教育 / 導入教育 / 教室環境 |
研究実績の概要 |
厚生労働省によると,建物内の二酸化炭素濃度は1000ppm(0.1%)の基準が設けられている.この数値を超えると,一般的に眠気等の症状を誘発すると言われている.BYOD(Bring Your Own Device)によって受講者が所有するノートPCを活用するプログラミング入門教育では,持ち込んだノートPCの発熱,受講者自身の発熱により教室内の温度が上昇する.また受講者の呼気には二酸化炭素と湿気も含まれており,眠気の誘発や「じめじめ」といった不快感の原因となる. BYODを前提としたコンピュータプログラミングの授業で,教室内の二酸化炭素濃度を継続的に測定した.複数の測定装置を平面的に配置することによって,二酸化炭素濃度の分布を3次元表示することに成功した.さらに1分毎に計測した結果を,アニメーション表示することにも成功した.授業開始から終了までの間に,二酸化炭素濃度の分布の時間的な変化を分析できるようになった.その結果,教室内の二酸化炭素濃度にかなりの斑があることが明らかになった.教室内に設置された空調から排出された空気が,教室内を循環する中で,最終的に空気が滞留する領域があり,その領域の二酸化炭素濃度が高くなっていることが分かってきた. 1000ppmを超えると教室の窓やドアの開放によって換気を行い,二酸化炭素濃度の低下の様子を観察した.教室の窓やドアを開けることによる自然換気は,二酸化炭素濃度を下げる効果が大きいことが分かった.しかし,この方法は,天候や風に左右され,外から入ってくる風の影響でプロジェクターのスクリーンが揺れたり,雨天時には雨が吹き込む,夏場は暑い外気が入る,冬場は冷たい外気が入るなど,バランスの良いコントロールが難しいことも分かった.現在は,これらを改善することに取り組んでいる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二酸化炭素濃度の測定のために装置を購入したが,センサーに不良があるとの連絡が製造元から入り,その交換を行った.その後は,順調に測定できており研究自体に大きな影響は発生していない.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に引き続き,二酸化炭素濃度,温度,湿度のデータの測定を継続する.二酸化炭素濃度の分布を3次元表示することに成功し,1分毎に計測した結果を,アニメーション表示することで,教室内に二酸化炭素が溜まり易い場所の特定が可能となった.今後の研究を進める上で,大変参考になる情報を手に入れることができ,有効活用する. 収集した二酸化炭素濃度,温度,湿度のデータから,モチベーション分布との関係を考察し,モチベーションへの影響を分析する.これらの情報や教室形状とモチベーション分布の関係等をデータベース化する.教室内の二酸化炭素濃度の変化はリアルタイムにモニタできるため,基準値を超えた場合に外気を取り入れるなどの対応を行い,受講者のモチベーションの改善に繋がる事を検証する.四季の変化によって,教室内の温度や湿度は大きく変化する.四季の変化に伴う換気の制御は,建物の構造と空調設備に依存する.二酸化炭素濃度が基準値を超えた場合の対応を人為的に行い,改善効果を評価する.窓を開けることによる換気は,二酸化炭素濃度の低下において効果的であるが,天候に大きく左右されるため,バランスの良い制御を行えるように工夫する. 教室内の二酸化炭素濃度が高い領域については,空気を循環させる工夫を行うことによって改善を図る.教室内の二酸化炭素濃度に関する学協会での講演発表は,興味を持つ方が多いことも分かった.モチベーションが測定できる事を初めて知ったとの声が,未だ聞かれる.大学で担当しているプログラミングの授業を対象に,SIEMを継続的に実践しながら受講者の理解度・モチベーションを継続的に測定と分析を続ける.研究成果の発表によって,SIEM自体がさらに広がること,二酸化炭素濃度に興味を持つ方が増えることを願い,学協会での発表を続ける.
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