研究課題
本年度は、日本国内において普及しているテキストベースのコミュニケーションのアプリケーションのLINEを中心に、感情面に関する基礎的な調査を行った。具体的には、コミュニケーションの過程でやりとりできるイラストレーションであり、テキストベースのメッセージの代替にもなるスタンプと、送信者が自分の送ったメッセージが受信者に読まれたことをリアルタイムで知ることができる既読通知機能について、それぞれ感情面への影響について調べた。その結果、スタンプの利用方法や知覚された有用性の評価に大きな影響を及ぼす要因として、テキストメッセージングへの依存の程度が見出された。同様に、既読通知機能によって生じるやりとりのスピードに関するプレッシャーにも、この依存の程度が大きく関係していることがわかった。そして、この依存の程度と関連する感情は不安などのネガティブ感情であった。すなわち、依存度の高いユーザーは、テキストベースのコミュニケーションでやりとりされる曖昧なメッセージに対する解釈において、ネガティブ感情が生じやすい。そのため、授業や学習の過程においても、LINE等のコミュニケーションが過度に気になる、すなわちマルチタスクに及ぶ傾向が示唆された。なお、調査の実施が日本国内であったため、特にLINEに注目したが、本調査で検討した機能はLINEに限らず、現時点で世界中の2億人以上のユーザーに使用されている例えばFacebookメッセンジャー等にも共通するものであり、得られた知見の汎用性は高いと考えられる。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)
International Journal of Cyber Behavior, Psychology and Learning
巻: 7 ページ: 1~11
10.4018/IJCBPL.2017100101
教育テスト研究センター年報
巻: 2 ページ: 35~37
http://www.cret.or.jp/