研究課題/領域番号 |
15K01103
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研究機関 | 羽衣国際大学 |
研究代表者 |
小田 まり子 羽衣国際大学, 現代社会学部, 准教授 (20269046)
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研究分担者 |
玉井 敏晴 羽衣国際大学, 現代社会学部, 准教授 (20441131)
佐塚 秀人 久留米工業大学, 工学部, 准教授 (00225913)
河野 央 久留米工業大学, 工学部, 教授 (60437746)
高橋 雅仁 久留米工業大学, 工学部, 教授 (70330975)
小田 誠雄 福岡工業大学短期大学部, その他部局等, 教授 (10185598)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 特別支援教育 / サービスラーニング / コミュニケーションツール / 肢体不自由児 / 知的障碍 / 教育支援 |
研究実績の概要 |
本研究は、ICTを専門に教育する大学が連携し、障害を持つ児童生徒のニーズに合わせた教材ソフトウエアや入力機器を開発し、特別支援学校での授業支援まで総合的にサポートする。このような技術的・教育的支援を大学生のサービスラーニングの観点から実現する点が本研究の特色であり、ICTを専門に勉強する大学生にとっては、ソフトウエアの利用者(ユーザインターフェース)を考えたソフトウエア開発、障害児をサポートする教育の貴重な経験となり、技術力、社会性の向上にもつながる。特別支援学校の授業では、大学生がICTの準備、利活用をサポートするため、特別支援学校教員の負担は少なく、授業におけるICTの有効活用にもつながる。従来は、ICTの利活用が困難であった肢体不自由児に対してはハード、ソフトの両面からの技術的支援を行う。 今年度は、堺支援学校への教育支援に向けて、堺支援学校を訪問し、授業見学、教員へのインタビューを行い、対象となる児童にあった教育支援教材開発に取り組み始めた。 また、音声言語による表出が困難な肢体不自由児のためのコミュニケーションツール開発に向けて、語彙力確認教材ソフトを確認し、語彙力テストを実施した。また、視線による入力など新たな入力方法を試みながら、コミュニケーションツールを試作した。 知的障碍児のための段階的学習教材としては、新たになぞり書き学習用タブレット教材と色や形の学習教材を開発した。学習者は、たてよこのなぞり書きは問題なくできるようになり、色の違いも認識できた。 2015年5月から2016年3月までの間、大学生のサービスラーニングとして、久留米特別支援学校を定期的を訪問し、教育実践を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
久留米支援学校への教育支援についてはサービスラーニングの体制が整い、定期的な教育実践も順調に実施できている。しかし、羽衣国際大学の学生による堺支援学校は、本年度からの新たな取り組みであるため、まだ支援体制が整っていない。 しかしながら、平成28年度には研究代表者の研究室のゼミ性を中心に支援に関わる学生が集まってきた。今後は、教材開発手法や障碍児童への接し方などを教育し、支援学校での学生による教育教育実践にも取り組みたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、以下の研究を行っていく。 ①児童の利用状況、教員の意見を参考に、コミュニケーションツールの改良を行う。②CGアニメーションを用いた教材ソフトウエア開発の継続と改良を行う ③児童に合わせた入力機器の開発と改良を継続する ④大学生による特別支援学校での技術的、教育的支援を行う。学習者の反応および、教員の意見を参考にユーザインタフェースを改良する。⑤遠隔授業システムの利用実験を行う。⑥研究成果の国内学会での口答発表を行う。 筆者らはこれまでに文字発音学習ソフトウエアや各々の児童に合わせた段階的学習がスムーズ行える教科学習教材ソフトウエアを開発してきた。このような教材ソフトウエアの開発を今後も継続していくだけでなく、今後は、教材サーバーに教材蓄積し、特別支援学校教員や保護者がダウンロードして利用できるようにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、遠隔授業システム一式としてコピー機能付きホワイトボードやホワイトボード対応プロジェクタ、電子黒板の購入を予定していたが、大学や支援学校にある機器を利用できたため購入を控えた。また、共同研究者が集まり、研究打ち合わせをするための研究旅費(大阪と福岡の移動)や教育実践で特別支援学校を訪問する際の旅費も必要であり、来年度以降の旅費として残しておく必要があった。
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次年度使用額の使用計画 |
肢体が不自由であることから、現実における様々な体験が制限される生徒のために、我々は新たな教材として、ヘッドマウントディスプレイを用いたVR(仮想現実)体験学習教材ソフトウエアの開発に取り組む。そこで、来年度は、ヘッドマウントディスプレイの購入を予定している。また、開発した教材ソフトウエアを蓄積するためのサーバーを購入する。教材開発における協力や授業サポートに対して一定の謝金を支払う必要がある。
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