研究課題/領域番号 |
15K01103
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研究機関 | 羽衣国際大学 |
研究代表者 |
小田 まり子 羽衣国際大学, 現代社会学部, 教授 (20269046)
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研究分担者 |
玉井 敏晴 羽衣国際大学, 現代社会学部, 准教授 (20441131)
佐塚 秀人 久留米工業大学, 工学部, 准教授 (00225913)
河野 央 久留米工業大学, 工学部, 教授 (60437746)
高橋 雅仁 久留米工業大学, 工学部, 教授 (70330975)
小田 誠雄 福岡工業大学短期大学部, 情報メディア学科, 教授 (10185598)
内田 知巳 羽衣国際大学, 現代社会学部, 助教 (80791962)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 特別支援教育 / サービスラーニング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ICTの教育を行っている羽衣国際大学、久留米工業大学、福岡工業大学が連携、協力し、サービスラーニングによる地域特別支援学校への技術的・教育的支援を行うことである。これまでに、①児童に合わせた入力機器の開発、②3D-CGによる学習教材ソフトウエアの開発、③大学生のサービスラーニングによる特別支援学校での教育支援を行ってきた。 本年度は、新たに(1)順番の概念を理解するための学習教材、(2)待機することを学ぶ教材、(4) 語彙学習教材、(3)ゲームエンジンUnityを用いてた3D-CG学習教材を開発し、特別支援学校での教育支援に用いた。 順番を学ぶ教材では、学習者が好む花の画像を用いた教材を数種類用意することにより、学習効果の定着が確認できた。また、待機することを学ぶ教材では、日常動作に関連づけた内容のコンテンツを作成し、音やアニメーションも取り入れたため、学習者の興味を引くことができた。語彙学習教材を用いた教育においては、コミュニケーションロボットを用いた学習も試験的に行った。Unityを用いてた学習教材は、肢体不自由児が実際に手に取って遊ぶことが困難な積木などの玩具を題材とし、児童生徒が自分の意思により仮想空間上でモノを動かしながら学習できることが確認できた。 これらの学習教材を用いた教育支援は、久留米地区の支援学校で定期的に行い、久留米工業大学の学生が技術的・教育的支援を行った。この教育支援は、教材ソフトウエア、CGアニメーションの開発、障がい児をサポートする教育経験、およびソフトウエアの利用者(ユーザインターフェース)を考える貴重な経験となった。大学生の教育支援は児童にとっても有効に働き、横で指導している大学生の期待にこたえて頑張ろうとする姿が見られるなど、児童と指導学生の相互に良い影響を与えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、学生が障がいを持つ児童生徒のために教材ソフトウエアを開発するだけでなく、実際に、特別支援学校において学生自身がサービスラーニングとして教育的支援を行うことを目的としている。九州地区の特別支援学校での教育支援は、計画通りに実施できており、学習者の学習効果の分析も行っている。しかしながら、関西地区においては、学生による支援学校への定期的訪問は実現できていない。これは、研究代表者の大学における所属学部が変更したことにより、昨年度まで大学4年生がゼミ配属せず、教育支援に協力する学生の確保が難しかったためである。 平成30年度からは卒業研究に取り組むゼミ学生が5人おり、また、2、3年生のゼミ生11名の協力も得られる状況となった。次年度は、ゼミ学生を中心とするメンバーの協力により、関西地区特別支援学校での教育支援を行い、学習効果を分析したいと考えている。また、久留米地区と大阪地区の特別支援学校間をネットワークで結ぶ遠隔授業も試験的に実施したいと考えている。最終的には、ICT を学ぶ大学生が障がい児を技術・教育支援することによる教育効果を分析する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
①現在、開発中の3D-CGの「体験型教材ソフトウエア」を用いた教育支援を実施する。特に、次年度は、関西地区特別支援学校での教育支援を行い、「体験型教材ソフトウエア」の学習効果を分析、検証する。 ②学習者にとって使いやすい新たな入力機器の開発を行うとともに、支援学校に導入済みの視線入力装置の活用も視野に入れる。その際、視線入力にも対応できるように教材ソフトウエアを改良し、視線入力による教育実践にも取り組む。 ③これまでに開発した教材のVR化、AR化についても取り組み、教材の魅力化を図る。 ④久留米地区と大阪地区特別支援学校間をネットワークで結び、遠隔授業を実施する。 ⑤学生による教育実践では、360度カメラでの映像記録を残す。支援学校での教育実践と参与観察の結果から、児童だけでなくサービスラーニングを行う大学生の学習効果についても調べる。 ⑥研究成果をまとめ、学会発表、論文発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度まで、関西地区での教育実践を行えなったため、教育支援用のモバイルノートパソコンが未購入である。また、久留米地区と大阪地区間の特別支援学校間を結ぶ遠隔授業を実践するための費用が未使用である。 30年度は、教育支援を行うためのノートパソコンや遠隔授業に必要な機器を購入し、授業実践に取り組む予定である。また、研究成果を発表するための学会参加のための経費(参加費、交通費)としての使用も考えている。
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