研究実績の概要 |
2017年3月に公示された新学習指導要領では,特別の教科道徳における指導の配慮事項として,情報モラルに関する指導の充実が上げられている。情報モラル教育が学校教育に普及しつつあるが,ネットいじめや電子掲示板への誹謗中傷の書き込みといった問題が後を絶たない。原因は知識の欠如というよりもむしろ児童生徒の「心の働きの相反性」(頭では分かっているのだが,情動・衝動や好奇心等に負けて不適切な判断をしてしまう)にあると考え,それを克服するための道徳の教材とタブレット型PCを用いたブレンド型授業のモデルを開発し,授業実践を通してその効果を測定することを目的とした。平成27~30年度には,次の6点を中心に研究実践した。 (1)「心の働きの相反性」を克服するための道徳の教材の開発と試行(H27年度)・構造化方式を用いることで,学習者に心の弱さに着目させることができ,効果的であることが明らかになった。(2)情報モラル判断を阻害する要因の特定(H27年度)・小学生にアンケート調査を実施したところ,不適切な情報モラル判断に対しての回答が十分に得られなかったため,要因の特定には至らなかった。(3)タブレット型PCを導入する情報モラルコンテンツの作成(H27,28年度)・小学校用10編,中学校用5編を作成し,サーバに掲載した。(4)ブレンド型授業のモデルの開発(H28年度)・タブレット型PCを用いた親子による家庭学習と学校での道徳授業とのブレンド型授業のモデルを開発した。(5)ブレンド型授業の実践(H28,29年度)・平成28年度には,岡山県内のI小学校の第4学年の1クラスにおいて授業を実践した。平成29年度には,同小学校の第4学年の2クラスにおいて授業を実践した。アンケート調査等の分析から,開発したブレンド型授業の有効性が示唆された。(6)国内学会,国際学会等で研究経過・成果を積極的に発表した。
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