研究課題/領域番号 |
15K01111
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研究機関 | 鳥羽商船高等専門学校 |
研究代表者 |
江崎 修央 鳥羽商船高等専門学校, その他部局等, 教授 (30311038)
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研究分担者 |
森谷 健二 函館工業高等専門学校, 生産システム工学科, 准教授 (90342435)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 視覚障害者 / Office365 / 自立訓練 / 就労支援 / 学習支援 |
研究実績の概要 |
本研究で構築する学習支援システムでは,Office365を利用して構築する「学習支援サイト」によって視覚障害を持つ学習者がITスキルをオンラインで習得だけではなく,ネットミーティング機能を利用して支援者が学習の支援を行う仕組みも合わせて構築した.これにより学習者は遠方から通わずしてリアルタイムな支援が得られ,好きな時間に学習を進められる.また支援員は遠方への移動時間がなくなり学習者一人当たりの指導時間を増やすことが可能となる. 学習支援サイトは支援員によるオンラインでの課題出題や管理を実現するWEBサイトである.学習支援サイトでは支援員がファイルをアップロードできる.サイト上のライブラリに就労訓練に必要なファイルをアップし,学習者のPCとライブラリ同期を行うことで課題を配布,訓練の進行具合を確認する.ただし,基本的には学習者が直接このサイトにアクセスすることはなく,支援者が学習者への課題配布や訓練状況の確認に用いる. 試用を通じて被験者から質問・要望をIMと通話で聞き,その場で操作方法を解説するか遠隔操作で改修を行っている.被験者来所日には毎朝1回予定を確認し,また毎週1回,通話で被験者へのヒアリングを行って,「PC動作は重くないか」「不明な操作はないか」等を確認している.これまで学習者から20件の質問があり,内18件がIMで,2件はヒアリングの通話中に聞かれた.質問内容は12件がSkype for Businessの機能や操作方法についてだった.これにはIMで解説し,設定変更の要望なら遠隔操作で対応した.よく使う操作についてはExcelで操作説明書を作成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回構築した仕組みで,遠隔からの学習支援が可能かの検証を行った.被験者と遠隔での課題実施と支援を行い,支援にかかった時間と,質問のためのIMおよびメールでのやり取りの数を記録した.TILSでの訓練方法に準拠し実施した.予備実験として,研究に携わる学生2名を支援員,19~21歳の晴眼者男女4名を被験者とし,遠隔支援を実施した.検証期間中は支援員役と学習者役は各々別の場所で待機し,実験開始時刻は定めず,学習者の好きなタイミングで事前に指示された課題を行い,支援員に質問した.支援員2名は質問されたときに手が空いていた方が対応した. なお学習者はキーボード操作のみで課題を行った. 予備実験では,学習者から必ず質問が出るように課題ファイルの一部に質問の指示を赤字で記載した.本来課題にはWordやExcelの操作方法が書かれているが,その一部を切り取り,代わりに「この操作の解説は支援員が行うのでメッセージで連絡してください」と記述する等してある.全ての遠隔支援方法(IM・通話・画面共有・遠隔操作)を必ず1人1回行うこととし,指示した質問への支援方法は予め決めておいた.それ以外の質問には臨機応変に対応した. 2016年12月,TILSの支援員と学習者に学習支援システムの利用方法についてデモンストレーションを行なった.その後デモを受けた学習者と研究学生の間で訓練内容に沿って遠隔支援機能を検証している.現在被験者は1名で,TILS(東京)にて課題を実施し,研究学生が三重県から本システムを用いて支援を行なっている.課題はTILSの支援員が準備し適宜アップロードしている.課題実施の通知は施設の支援員にも届く.課題内容に関する被験者の支援は支援員が施設内で行っている.
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今後の研究の推進方策 |
Skype for BusinessのIM入力フォームでバックスペースや左矢印を押すと,PC-Talkerで何も読まれないため学習者が送信したい文字列を確認するのに手間がかかっている.通常PC-Talkerはこれらの操作で通過した文字を読上げる. IM入力フォームの問題点については現在PC-Talkerを開発・販売する高知システム開発社にTILS経由で問い合わせ,対応を依頼した. 現在の被験者の自宅での遠隔支援検証を開始する.訓練者を30名程度まで増やし、TILSの訓練員が自主的に運用できるようにノウハウを伝えていく。 さらに文書作成だけでなく,Office365使用のための学習コンテンツを増強する.具体的には本システムで使用中のSkype for Business,Outlookの訓練機能の構築である.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会発表と東京での打ち合わせ(2泊)が変更・中止となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
学会発表および打ち合わせを平成29年度に発表・実施予定。
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