研究課題/領域番号 |
15K01112
|
研究機関 | 舞鶴工業高等専門学校 |
研究代表者 |
舩木 英岳 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80311041)
|
研究分担者 |
丹下 裕 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50435434)
金森 克浩 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, その他部局等, その他 (60509313)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 特別支援学校教員 / 出前授業 / アクティブラーニング / LMS |
研究実績の概要 |
特別支援学校の教員に対して,電子工作の基礎レベルの技術力習得を目的とし,高専の初等教育方法を取り入れた教育システムの構築を行うことを目標とする.我々が提案する教育システムは,「失敗体験を元に学ばせる」実践的なeラーニング教材を活用できることが特徴的であり,学習管理システム(LMS:Learning Management System)サーバとモバイル端末(iPad)で構成して,アクティブラーニングを実践するものである. 平成27年度は,次の課題を実施した. (1)既存コンテンツのブラッシュアップと出前授業の実施:特別支援学校教員の技術力を向上させるために,3回の出前授業を実施した.各教員に工具や計測器の使い方,ハンダ付けの方法を指導した.そして,失敗体験を取り込んだ簡単な電子回路の製作により故障の原因や修理の仕方について実習をもとに進めた.また,2年目以降に実施予定であるアクティブラーニング(自ら調べ,自ら学ぶ)を導入するための下準備として,iPadの使い方(基本機能,写真や動画の撮り方,ものの調べ方)についての授業を実施した. (2)LMSサーバの構築とコンテンツの制作:eラーニング教材を配信するためのLMSサーバを外部レンタルサーバ上で構築し,コンテンツ配信のためのHPを制作した.初年度のeラーニング教材は,これまでに我々が制作してきた出前教材を中心に,導入教育で必要となるセンサーの基礎知識や計測器の使い方を含めて制作中である. (3)個人アンケートの作成:特別支援学校教員の理解度ややる気,各個人のニーズを把握するために,初年度は紙ベースのアンケートを作成し,「できること」,「できないこと」,「できるようになりたいこと」,「各個人のニーズ」などを把握できるようにし,各個人の情報を管理できるようにした.このアンケート結果を基にして,出前授業時に個別指導や全体指導につなげた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度に予定していた研究計画は,アンケート結果をもとにした個別指導以外は実施できたのでおおむね順調に進んでいると考える.
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度は次の課題を実施する. (1)新規コンテンツの立ち上げ: 特別支援学校の教員の意見を反映した,出前教材を開発する.現状では,100V間接スイッチとラッチ&タイマーの一体化,ラッチ&タイマーの小型化,打楽器用スイッチの要望がある.教材は特別支援学校の教員が理解しやすいものに絞り,可能な限りアナログ回路のみで構成できるものとする. (2)新規コンテンツの 出前授業の実施: 出前授業は,年に3回程度実施する.平成28年度の出前授業では,各個人の技術力向上のためにウェアラブルカメラを導入し,作業中における講師の視線をリアルタイムに説明画面に映し出し,特別支援学校教員に見せることで作業中におけるポイントを説明する.特別支援学校の教員にもウェアラブルカメラを装着してもらい,画面に映し出された視線を講師が確認することで,個人指導を行う.1年目に実施したiPadの導入教育を踏まえて,アクティブラーニングを出前授業に導入する. (3)コンテンツの公開と特別支援学校の事例紹介:1年目に構築したLMSサーバーを用いて,出前授業のコンテンツを公開する.随時,新規コンテンツはLMSサーバーに追加し,ネットワーク環境とiPadがあれば自由に閲覧できるようにする.出前授業の教材の活用事例やこれまでに特別支援学校教員が独自に開発してきた教材を集め,本人の許可を得た上で教材としてホームページに紹介し,独自教材の保存を図る. (4)電子化した個人アンケートの制作:iPadの導入教育を終えた後,紙ベースで作成したアンケートをMoodleに制作する.特別支援学校の教員がiPadを使い,Moodleにアクセスできるように個人アカウントを作成し,2ヶ月に一度の個別指導を行う際に役立てる.
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品費にて当初購入を検討していた学習管理システム用サーバは,研究を進める上で再検討し外部レンタルサーバとした.それに伴い,サーバと無停電電源装置,UPS電源管理用ソフト, NAS,SSL証明書は不必要となった.外部サーバに関しては,契約プランやハードディスク容量の検討中であるため,無料お試し期間にシステムを構築して使用している. また,購入を予定していたe ラーニング用コンテンツ作成ツールについては,どのソフトを使用するか現在検討中である.
|
次年度使用額の使用計画 |
外部サーバに関しては,早急に関係者と話し合い契約プランを決定し,すでに構築したシステムを移行する.また,e ラーニング用コンテンツ作成ツールを購入して,コンテンツを充実させる.外部サーバを借りることで残金が生じたが,出前授業を進める上で小型プロジェクタ,iPadを使用する上でネットワーク環境を改善するためにAirMac ExpressやAppleTVを購入する.これにより,より研究に資するものと考えられる.
|