研究課題/領域番号 |
15K01114
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
阿辺川 武 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 特任研究員 (00431776)
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研究分担者 |
ホドシチェク ボル 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 講師 (10748768)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 作文支援 / 評価実験 / 誤用検出 / 接続表現 |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究では、次の3点について研究を実施した。 (1) 誤り検出の精度向上に関する研究:どの科学の分野にも共通すると考えられるアカデミックな日本語表現において、特に接続表現に焦点を当て網羅的に抽出することを試みた。本研究では接続表現を「また」「さらに」などとともに「従いまして」「本結果から」のような文と文の意味をつなぐ役割を有する表現全般と定義し、接続詞・接続語といった従来の日本語文法でみなされている単位よりも大きい表現も対象とすることを決めた。この定義に従って網羅的に接続表現を収集するにあたって、人間用、機械用の日本語辞書だけでは不十分であるため、コーパスを用いて高頻度な接続表現を収集し、独自に辞書作成をおこなうことにした。具体的には文頭かつ読点が後接する高頻度表現を集め、その中から接続表現であるかどうかを人手で判定した。この結果、頻度上位1000語の文頭表現のうち、約600語が接続表現であると判定された。 (2) 訂正に役立つ情報の提示に関する研究:上記で収集した接続表現に対しアカデミック・レジスターで使用可能かどうかを人手で判定した。作文支援システムに組み込み、アカデミック・レジスターにふさわしくない表現が使用された時に、同じ意味を持つ正しい表現を候補として提示する仕組みを検討した。 (3) 評価実験の設計:作成された接続表現辞書の評価を行うために、実験協力者の人数、協力者の日本語レべル、作文の長さ、作文執筆時間など実験に必要な設定を、過去の実験を参考にしながら検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
誤り検出の精度向上の研究については、基本となる辞書構築について概ね順調に進展している。 訂正に役立つ情報の提示に関する研究については、実際の誤用に対しどのような代替表現を提示すれば良いかなど具体的な事例についての検討の必要があるが、システムの大まかな枠組みについての検討ができた。
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今後の研究の推進方策 |
誤り検出の精度向上の研究について、引き続き接続表現辞書の整備をおこない、アカデミック・レジスターでの使用の可否、接続表現の意味に着目した分類を行っていく。 訂正に役立つ情報の提示に関する研究については、整備した辞書をもとに、どのような代替表現の提示が役に立つのかの検討をおこなう。 これらのをもとに最終年度でおこなう実験の詳細な設定を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者の打ち合わせのための出張が想定よりも少ないため旅費が残ったためと、システムを稼働させているサーバのスペック向上が予定通り進まなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
旅費については次年度、海外発表の予定があるためにそこで使用予定。物品費についてはサーバのスペック拡張を予定。
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