研究課題/領域番号 |
15K01122
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
田中 浩朗 東京電機大学, 工学部, 教授 (70240900)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 石川一郎 / 科学技術動員 / 産業界 / 化学工業 / 化学工業統制会 / 戦時動員 / 第二次世界大戦 / 技術交流 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,第二次世界大戦中に化学工業統制会会長を務めた石川一郎(1885-1970)の個人文書『石川一郎文書』(東京大学 経済学部図書館所蔵,マイクロフィルム版,全279リール)を中心史料として用い,「産業界からみた科学技術動員」の実態を解明することである。 平成29年度は,本年度購入した5リールを含め,本研究に必要と判断した156リールについて一応のサーベイを完了し,昨年度と同様に科学技術動員に関連する資料の探索と目録作成を進めながら,化学工業統制会が科学技術動員にとって果たした役割について検討した。 本年度の調査では,科学技術動員史の観点からの石川文書の全体像がおぼろげながら明らかになった。まず,全279リールという膨大な資料のうち,戦時中の資料を含むものは意外に少なく,全体の約半分程度であるということである。また,化学工業統制会の活動において,技術的隘路を克服することの重要性は相対的に低く,むしろ資材不足などが生産増強の重要な隘路と考えられており,統制会の技術関係の活動に関する資料は当初期待したほどには見出せなかった。特に,民間企業と軍・学・官との協力関係に関する資料は,断片的には存在するものの,まとまった資料はほとんど見出せなかった。 当初の予定よりも購入リールの本数は少なくて済んだため,科学工業統制会の監督官庁である軍需省の資料(『軍需省関係資料』全8巻,復刻版;通産政策史資料オンライン版)を購入し,化学工業統制会をとりまく産業関係組織との関連を考察し始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成27年度と平成28年度の2年間,勤務先大学の所属部署の役職者となり,管理運営業務が多忙を極め,研究に多くの時間を割くことができなかったこと,および,マイクロフィルム資料の解読に予想以上に時間がかかり,入手した資料を十分使い切ることができていないため。
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今後の研究の推進方策 |
補助事業期間延長承認申請を行い,もう一年かけて当初の計画の完遂を期す。石川一郎文書に関しては,必要資料はすべて入手済であり,関連資料もそれなりに入手済のため,あとは資料の整理と読解・分析の作業を地道に続ける予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
少額の残金については,消耗品を購入する予定だったが,補助事業期間延長が承認されたため,次年度に消耗品を購入することとした。
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