研究課題/領域番号 |
15K01124
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
坂野 徹 日本大学, 経済学部, 教授 (70409142)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ミクロネシア / サンゴ礁 / 委任統治 / 植民地 / 調査研究 / フィールドワーク / 生物学 |
研究実績の概要 |
昨年度、勤務校で取得したサバティカル期間の後、ある程度、資料収集および現地調査が進められたので、本年度はその最終的成果となる著作の執筆を進めるとともに、研究会で2回発表をおこなった。 まず、最終的成果となる著作(単著)だが、勁草書房より2019年に『〈島〉の科学史─パラオ熱帯生物研究所と帝国日本の南洋調査(仮題)』を刊行予定である。本年度後半から、そのための原稿執筆を本格的に開始したが、当初の計画を大幅に拡張し、パラオ熱帯生物研究所のみならず、戦前日本のミクロネシアにおける調査研究全体を総括する著作にする予定である。それに付随して、申請者が共編者となり、現在、編集を進めている論文集『帝国日本の科学思想史』(勁草書房、2018年)のなかに、「帝国を船がゆく─南洋群島調査の科学思想史」という論考を掲載予定である(2018年秋に刊行予定)。 なお、著作の構成は以下のようになる予定である。序論:〈島〉にわたった科学者たち/1章:占領と視察/2章:南洋庁と現地調査(1)/3章:南洋庁と現地調査(2)/4章:「文明」から遠く離れて/5章:サンゴ礁の浜辺で/6章:緑の楽園あるいは牢獄/7章:〈島〉を往来する/8章:「来るべき日」のために/9章:さらに「南」へ!/10章:パラオから遠く離れて/終章:戦後─追憶の南洋群島 次に研究会での発表については、(1)「占領と視察─『南洋新占領地視察報告』とは何か」(9月27日、神奈川大学日本常民文化研究所公開研究会)および(2)「緑の牢獄あるいはユートピア─パラオ熱帯生物研究所の若き学徒たち」(18年3月24日、生物学史研究会)の2回である。これらの発表内容は、発展させて(1)で述べた論文集および最終的成果となる著作に組み込む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2016年に大森信氏(東京海洋大名誉教授)らにより、故元田茂氏(元パラオ熱帯生物研究所研究員、北大名誉教授)の自宅から、重要文献であるパラオ熱帯生物研究所の日誌が発見され、これは、遺族の承諾を得て、研究所と深い関係をもつ東北大学の史料館に寄贈された。本日誌の公開には時間が必要であったため、2018年度中に、これを閲覧することができなかった(2019年3月末にようやく本日誌の公開が決定)。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、最終的成果となる著作の執筆を進めるとともに、5月26・27日に開催される日本科学史学会総会(東京理科大学)で、本研究課題にかかわる発表を実施する予定である(論題「生物学者と戦争-パラオ熱帯生物研究所を例として」)。 なお、上述した東北大学史料館に寄贈されたパラオ熱帯生物研究所日誌の閲覧のため、今年度5月か6月に仙台へ出張の予定である。
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