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2015 年度 実施状況報告書

使用済核燃料の深地層処分技術と政策に関する歴史

研究課題

研究課題/領域番号 15K01125
研究機関日本大学

研究代表者

小島 智恵子  日本大学, 商学部, 教授 (70318319)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード科学技術史 / 原子力エネルギー / 放射性廃棄物 / 最終処分 / 原子炉解体廃炉
研究実績の概要

①フランスの原子炉解体・廃炉の歴史:本研究は使用済み核燃料の処分と政策に関する歴史をフランスとフィンランドを事例として比較するものであるが、本年度はフランスを研究対象とした。使用済み核燃料の処分と政策研究の前段階として、原子炉解体・廃炉の歴史について調査する必要があるが、特に核燃料サイクルの要である高速増殖炉の解体・廃炉は、原子力政策と密接に結びついている。そこで高速増殖炉として世界で最も長い期間稼働していたフランスの原型炉Phenixを事例とし、その稼働停止直前の責任者であったJ.Guidez氏へのインタビューを行った。その結果、本来は1994年に設計寿命に達し廃炉措置に移行すべきだったPhenixが、1994年以後改造・補強工事を行い2009年まで寿命が延長されることになったのは、高速増殖炉実証炉のSuperphenixが、1987年と1990年にNa漏れが生じ可動停止となり、1994年には研究炉に用途変更し、1998年には廃炉が決定したためであることが明確になった。なお、Guidez氏へのインタビューはテープ起こし後に、Guidez氏にその内容を確認して頂き公表の許可も得ており、現在そのインタビューを基に論文を執筆中である。
②フランスの放射性廃棄物処分の歴史:フランス原子力庁(以下CEA)アーカイブスの協力を得て、CEAの報告書や放射性廃棄物管理局庁(以下ANDRA)のパンフレット等の中に記載されている放射性廃棄物処分史的過程を調査した。同アーカイブズのS.Delmas氏には、アーカイブスにて調べきれなかった資料をPDFファイルにてお送り頂いたため、資料収集を効率的に行うことができた。またフランスBureにある使用済み核燃料の深層処分研究所に関する資料も入手し、Cigeo(地層処分プロジェクト)について分析した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成27年4月以前に予定よりも早くANDRAからフランスBureの深層処分研究所視察の許可が下りたため、現地調査のみ先に行い、詳しい資料を平成27年度に収集することになった。そこで平成27年度の研究計画予定には含まれていなかったが、使用済み核燃料の処分と政策研究の前段階にあたる原子炉解体・廃炉の歴史についても調査することができた。またCEAのGuidez氏にインタビューをしたことが契機となり、CEA他、フランスの原子力研究関連者との人脈も増え、今後の研究協力の礎を築いた。一方、フランスの深地層処分政策は放射性廃棄物処分の「可逆性」と「回収可能性」を採用したことに大きな特徴があるが、その政策へ移行する歴史的過程を裏付ける資料については十分に調査できなかったので、次年度以降の課題とする。

今後の研究の推進方策

平成28年度はフィンランドの放射性廃棄物処分の調査を行うが、「可逆性」と「回収可能性」を採用していないフィンランドと比較する意味で、平成27年度から継続してフランスの政策についても研究を進めたい。視察場所については、フィンランドのオルキルオトの最終処分場を予定しており、同時にフィンランド原子力安全機構・POSIVA社にて資料を収集する。フィンランドの原子力政策に関しては佐藤温子氏が現地調査を含めて研究を進めておられるので、フィンランドでの視察と資料調査に関する適切な助言を得られると期待している。なお、これまで調べた限りではフィンランドの原子力開発史研究においてオーラルヒストリーの手法を用いたものは行われていない。そこでフィンランドのオルキルオトの最終処分場や原子力安全機構・POSIVA社にて原子力技術者へのインタビューを行い、フランスの原子力技術者の放射性廃棄物処分に対する考えと比較検討する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 仏高速増殖炉Phenixの廃炉に関する歴史2016

    • 著者名/発表者名
      小島智恵子
    • 学会等名
      日本物理学会第71回年次大会
    • 発表場所
      東北学院大学(仙台市)
    • 年月日
      2016-03-19
  • [学会発表] 仏高速増殖炉Phénix開発史とその解体動向2015

    • 著者名/発表者名
      小島智恵子
    • 学会等名
      日本科学史学会第62回年会
    • 発表場所
      大阪市立大学(大阪市)
    • 年月日
      2015-05-31
  • [備考] 科学技術史-現代物理学史・原子力開発史

    • URL

      http://www.bus.nihon-u.ac.jp/hst/index.html

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公開日: 2017-01-06  

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