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2018 年度 実施状況報告書

新・未活用資料と定量的手法を用いた明治期以降わが国の人口史・疾病史・医学史の分析

研究課題

研究課題/領域番号 15K01129
研究機関国立保健医療科学院

研究代表者

逢見 憲一  国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (70415470)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2020-03-31
キーワード医学教育カリキュラムの現状 / 臨床医学教育 / 平均寿命 / 人口動態統計 / 公衆衛生活動 / インフルエンザ超過死亡 / 学童集団接種 / ウイルス循環
研究実績の概要

平成30年度は,医学教育カリキュラムの現状,帝国大学一覧等資料,住民基本台帳人口要覧等の資料の発掘と収集,基礎的分析を行い,人口動態統計の1906~1943年分道府県別男女生年年齢別死亡数のデータ入力を行った。
また,上記発掘資料を用いて,「日本の臨床医学教育における医師と医学の原像と“執拗低音”“ドイツ医学”と“アメリカ医学”の変容に関する一試論」を執筆し,坂井建雄編『医学教育の歴史──古今と東西』中の一章として,法政大学出版局より出版された。また,わが国におけるインフルエンザによる健康被害を定量的に論じた論文がSOCIAL SCIENCE DILIMAN誌に掲載され,その内容がJapan Times紙に紹介された。また,(旧)保健所法の制定から地域保健法までの公衆衛生について概説した論文が「公衆衛生」誌に掲載された。さらに,わが国の平均寿命延長に医療・公衆衛生の果たした役割を定量的に検討した論文を執筆し,「人口学研究」誌に投稿した。
令和元年度は,人口動態統計毎月概数,大日本私立衛生會雜誌,日本公衆保健協会雑誌,公衆衛生,等の資料の発掘と収集,分析を行い,人口動態統計の1899~1906年分道府県別男女生年年齢別死亡数のデータ入力を検討する予定である。
また,上記発掘資料を用いて,平均寿命延長の年齢構造および死因構造から,わが国の平均寿命延長に医療・公衆衛生の果たした役割を定量的に検討した論文を執筆し,学術誌への投稿・受理を目指す。また,上記発掘資料を用いて,内務省保健衛生調査会設置から日中戦争・第二次大戦下での公衆衛生活動等について検討する。さらに,わが国におけるインフルエンザに対する学童強制接種,任意接種の比較,近年わが国の高齢者インフルエンザ超過死亡と予防接種,投薬,ウイルス循環の役割,出生年コホート別にみたインフルエンザ超過死亡,等について分析を取りまとめる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

【資料の発掘と収集,基礎的分析】医学教育カリキュラムの現状 1975(昭和50)年度-2007(平成19)年度までのまとめ CD版,2013(平成25)年度版,2015(平成27)年度版。〈帝国大学一覧等〉東京大学医学部年報,東京大学医学部一覧,帝国大学一覧等。住民基本台帳人口要覧 平成6年~平成30年。
【データ入力】〈人口動態統計〉男女生年年齢別死亡数,道府県別,1906~1943年。
【超過死亡にみる戦前期日本におけるスペインかぜ世界流行の影響】わが国におけるインフルエンザ,特に1918-20年のいわゆる“スペインかぜ”による健康被害を,超過死亡の比較を通じて定量的に把握した論文をSOCIAL SCIENCE DILIMAN誌に投稿し,平成30年12月に掲載された。また,その内容が令和元年5月にJapan Times紙に紹介された。
【日本の臨床医学教育における医師と医学の原像】上記発掘資料を用いて論文を執筆,”日本の臨床医学教育における医師と医学の原像と“執拗低音”“ドイツ医学”と“アメリカ医学”の変容に関する一試論”として,坂井建雄編『医学教育の歴史──古今と東西』の一章として,法政大学出版局より平成30年3月に出版された。
【保健所法から地域保健法へ―戦前・戦中・戦後のわが国の公衆衛生の発展】主に「保健所五十年史」等の資料を用いて,1937年制定の (旧)保健所法の制定から地域保健法までの公衆衛生について概説した。
【わが国の平均寿命延長の年齢構造と医療・公衆衛生の役割】わが国の平均寿命延長の年齢構造から,平均寿命延長に医療・公衆衛生の果たした役割を定量的に検討した学術論文を執筆し,「わが国の平均寿命延長の年齢構造と医療・公衆衛生の役割―第4回から第22回生命表より―」の表題にて,平成30年3月に「人口学研究」誌に投稿した。

今後の研究の推進方策

【資料の発掘と収集,基礎的分析】人口動態統計毎月概数 1946(昭和21)年~1950(昭和25)年。大日本私立衛生會雜誌 1883(明治16)年~1923(大正12)年。日本公衆保健協会雑誌 1925(大正14)年~1946(昭和21)年。公衆衛生 1923(大正12)年~1948(昭和23)年。
【データ入力】〈人口動態統計〉男女生年年齢別死亡数,道府県別,1899~1906年。
【わが国の平均寿命延長の年齢・死因構造と医療・公衆衛生の役割】平均寿命延長の年齢構造および死因構造から,わが国の平均寿命延長に医療・公衆衛生の果たした役割を定量的に検討した学術論文を執筆し,学術誌への投稿・受理を目指す。特に上記発掘資料「人口動態統計毎月概数」を用いて,日中戦争・第二次大戦直後の死亡率低下・平均寿命延長と抗結核薬等の有効な医療技術の普及との関連について検討する。
【戦前・戦中・戦後のわが国の公衆衛生の発展】上記発掘資料「大日本私立衛生會雜誌」「日本公衆保健協会雑誌」「公衆衛生」を用いて,1916(大正5)年内務省保健衛生調査会設置から(旧)保健所法制定,日中戦争・第二次大戦下での公衆衛生活動から(新)保健所法へ至る,わが国のわが国の公衆衛生の発展について,“1940年体制”論を踏まえ,従来のGHQ/SCAP中心の議論を再検討する。
【わが国におけるインフルエンザに対する学童強制接種,任意接種の比較】前年度投稿した論文について,受理・掲載を目指す。また,【近年わが国の高齢者インフルエンザ超過死亡と予防接種,投薬,ウイルス循環の役割】【出生年コホート別にみたインフルエンザ超過死亡と予防接種,投薬,ウイルス循環の役割】前年度に行った比較検討を踏まえ,また最新の人口動態統計を加え,分析を取りまとめる。なお適宜,研究順序やテーマの入れ替え・変更を行う予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Evaluating the Impact of the 1918-1920 Influenza Pandemic in Pre-War Imperial Japan2018

    • 著者名/発表者名
      Ohmi K, Suzuki A.
    • 雑誌名

      Social Science Diliman

      巻: 14(2) ページ: 76-102

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 医学史・医療史と公衆衛生―マキューン・テーゼから歴史人口学へ―2018

    • 著者名/発表者名
      逢見憲一
    • 雑誌名

      日本医史学雑誌

      巻: 64(4) ページ: 413-416

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 沖縄長寿説の成立と展開―水島治夫『<公刊前>1921-25年分府県別生命表』を発端として―2018

    • 著者名/発表者名
      逢見憲一
    • 雑誌名

      人口学研究

      巻: 41(1) ページ: 112

    • オープンアクセス
  • [学会発表] “沖縄=伝統的長寿県”説の成立―沖縄県公文書館蔵『琉球政府第1回生命表』の分析―2018

    • 著者名/発表者名
      逢見憲一
    • 学会等名
      第119回日本医史学会総会
  • [学会発表] 住民基本台帳人口および国勢調査人口を用いた都道府県別年齢調整死亡率の比較検討2018

    • 著者名/発表者名
      逢見憲一
    • 学会等名
      第77回日本公衆衛生学会総会
  • [学会発表] わが国の1959-94年におけるインフルエンザ学童集団予防接種率の推移2018

    • 著者名/発表者名
      逢見憲一
    • 学会等名
      第83回日本健康学会(旧称:民族衛生学会)総会
  • [図書] 医学教育の歴史2019

    • 著者名/発表者名
      坂井 建雄
    • 総ページ数
      600
    • 出版者
      法政大学出版局
    • ISBN
      9784588371271
  • [図書] 人口学事典2018

    • 著者名/発表者名
      日本人口学会
    • 総ページ数
      832
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      9784621303078

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公開日: 2019-12-27  

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