研究課題/領域番号 |
15K01134
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
波多野 想 琉球大学, 観光産業科学部, 准教授 (60609056)
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研究分担者 |
越智 正樹 琉球大学, 観光産業科学部, 准教授 (90609801)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 鉱山景観 / 文化遺産 / 文化的景観 / マネジメント |
研究実績の概要 |
鉱山遺跡は、鉱業施設のみならず居住施設、娯楽施設、商業施設などを含む複合的な地域であり、また鉱山特有の制度や文化によって独特の地域社会が形成されてきた、地理的に広大な範囲に及ぶ文化遺産である。昨今、産業遺産保護の重要性が叫ばれ、鉱山遺跡を文化的景観として保護活用していく事例が数多くみられる。しかし一方で過疎化の進行や歴史的文脈を無視した無秩序な観光開発などもみられ、広大な地理的範囲が持つ特質が一様でないことから、各地で様々な社会的かつ空間的な問題に直面している。そこで本研究は、鉱山景観の遺産化および観光地化のプロセスとそれに伴う景観変容と地域構造の実態を明らかにし、さらに鉱山景観における地域マネジメント手法の理論化をおこない、文化遺産としての鉱山景観の今後のあり方を考えるための一助となることを目指すものである。 平成27年度は研究計画上の第一段階に位置づけられ、これまで東アジアで取り組まれてきた鉱山の文化遺産化と観光地化に関わる経緯と現状について、主に日本、台湾、韓国、中国における事例を、資料調査や現地調査(現地専門家との会合を含む)によって包括的に検証し、さらに日本、台湾、韓国、中国における文化的景観保護制度に関する資料を現地調査によって収集し、東アジア各国の制度上の相違を分析する計画であった。さらに、東アジアの鉱山遺産における景観マネジメントの理論モデルの構築を行うことを目指した。 しかし、交付内定の通知を受けたのが、平成27年10月であり、実質的な研究活動は翌月から開始することとなった。そのため、当初計画に記載していた平成27年度分の研究内容の一部(海外調査の遂行)は翌年度の研究計画と抱き合わせて実施するよう計画を変更し、平成27年度においては主に、文化的景観関連資料の整理と、海外および日本における現地調査の対象地の絞り込みを行うための作業を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付内定の通知を受けたのが平成27年10月であり、実質的な研究活動は翌月から開始することとなったため、当初の計画に比してやや遅れている。特に、平成27年度に実施することを予定していた、海外調査(中国、台湾、韓国)が行い得なかったことで、鉱山景観のマネジメントに関する理論モデルの構築に至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に実施予定であった「文献収集」「現地調査(中国、台湾、韓国)」「理論モデルの構築」のうち、同年度内に実施し得なかった「現地調査」および「理論モデルの構築」を平成28年度上半期(~平成28年7月)に集中的に行い、平成28年度下半期から平成29年度上半期にかけて、石見、金瓜石、瑞芳における現地調査を実施することで、遅れている部分の正常化を図る予定である。 「現地調査(中国、台湾、韓国)」の調査対象地は既に絞り込みを終えており、平成28年度上半期における集中的調査の遂行に特に問題ない。また平成28年度下半期から開始する予定としている石見、金瓜石、瑞芳における現地調査についても、現地の関連部局との調整を既に終えており、予定通り遂行できる見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画に対して研究期間が短く(実質5ヶ月)、当初計画に含まれていた海外調査(中国、台湾、韓国)が実施できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度上半期に、平成27年度に予定していた海外調査(中国、台湾、韓国)を集中的に行い、下半期にさらに集中的に平成28年度計画に盛り込まれている現地調査(石見、金瓜石、瑞芳)を実施する。
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