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2015 年度 実施状況報告書

環境制御による古墳に繁茂する緑色生物の軽減法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K01140
研究機関独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所

研究代表者

朽津 信明  独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, その他 (50234456)

研究分担者 犬塚 将英  独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, 研究員 (00392548)
森井 順之  独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, 研究員 (30342942)
佐藤 嘉則  独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, 研究員 (50466645)
西澤 智康  茨城大学, 農学部, 准教授 (40722111)
木川 りか  独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, その他 (40261119) [辞退]
脇谷 草一郎  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, その他部局等, 研究員 (80416411)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード古墳 / 藻類 / 照度 / 湿度 / 含水率 / 石棺 / 洞窟 / 保存
研究実績の概要

古墳内部に生息する緑色生物が、繁茂しにくい環境を明らかにして与えることで軽減し、それにより古墳の公開活用の促進に寄与することを目的として研究を開始した。今年度は、福岡県の国指定史跡・石人山古墳において、石棺表面に緑色生物が繁茂している箇所としていない箇所とで環境計測を開始した。これまでに得られたデータを総合すると、緑色生物が繁茂している箇所で、繁茂していない箇所よりも積算照度が大きい傾向が認められた。その一方で、石棺各部位の水分量を調査した結果、水分条件にはあまり差はなく、むしろ繁茂していない箇所の方が水分が多い傾向を確認した。以上より、同古墳の石棺では、水分条件よりも光が当たるかどうかが、緑色生物の繁茂には影響を与えている可能性が考えられるに至った。そこで、石棺石材と同種の阿蘇熔結凝灰岩テストピースを準備し、予め色を計測した後に石人山古墳近の石棺近傍で、繁茂が予想される箇所とされない箇所とにテストピースを設置し、その後の経過観察を開始した。一方、石棺表面に繁茂する緑色生物を採取して同定し、それが褐藻、緑藻、藍藻などの藻類を主体とすることを解明し、その詳細な性質を解析している。また、それらについて単離作業を行って培養を試みており、これを阿蘇凝灰岩のテストピースに植え付けるべく準備を開始した。これが完成すれば、それを軽減できると予想されている環境下に設置する予定である。この他、関連遺跡として、北海道の国指定史跡・フゴッペ洞窟においても、調査を行った。ここでは、洞窟遺跡の内部に藻類の繁茂が見られることが過去に報告されているが、石人山古墳の石棺とは異なり、むしろ光があまり与えられていない部分に繁茂が目立つ傾向が見られたため、石人山古墳と同様の環境計測を開始した。それぞれ異なるタイプの緑色生物繁茂条件を解析することから、それらが繁茂しにくい環境を次年度以降に模索していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

適切に予算執行を行って予定通りにデータロガーを購入し、それを当初計画通りに石人山古墳の現地に設置することで環境計測を開始できた。また、当初計画通りにテストピースを作成し、これも計画通りの個数を計画通りの場所に設置できた。また、石人山古墳の現地に生育する緑色生物について、研究協力者である福岡県教育委員会職員の立ち合いの下でサンプリングを行い、単離・同定作業を行うことができた。テストピースへの植え付け作業に現在かかっており、いずれも当初計画していた作業を実行することができていることから、予定通り進捗していると判断される。

今後の研究の推進方策

既に、石人山古墳における、緑色生物が繁茂しやすい環境、繁茂しにくい環境については、これまでに得られたデータである程度の把握ができている。このため、生物が繁茂した状態にあるテストピースを、これまでの計測から生物が繁茂しにくいと推測される環境の場所に設置して経過観察を行うことで、生物が減少していくかどうか、またその場合の変化のスピードについて判断していく予定である。このためには、単離して実験室で植え付けを行ったテストピースだけでなく、現地で複雑な生態系として繁茂した状態のテストピースにおいても検証を行える方が望ましいため、可能な限りは現地にあるテストピースに十分に生物繁茂が確認された段階でこの作業に進むつもりである。また、生物が減少していく段階で、カビの繁殖などの弊害が誘発されないかなど、別のファクターについても慎重に確認していく。こうした現地作業が万が一順調に進まない場合には、実験室で人口環境を作って検証することも視野に入れながら、最終的に古墳における緑色生物を軽減する適切な方法について結論を得ていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

誤差の範囲の少額であり、研究は当初計画通りに進行している。

次年度使用額の使用計画

少額であるため、研究計画には何ら変更なく次年度以降の研究を進められる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ・石人山古墳における石棺装飾の保存に関する調査2015

    • 著者名/発表者名
      朽津信明・森井順之・犬塚将英・佐藤嘉則・日高翠・木川りか・尾崎源太郎・岡田健
    • 学会等名
      文化財保存修復学会第37回大会
    • 発表場所
      京都工芸繊維大学
    • 年月日
      2015-06-27

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公開日: 2017-01-06  

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