研究課題/領域番号 |
15K01151
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
渡辺 靖彦 龍谷大学, 理工学部, 講師 (10288665)
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研究分担者 |
岡田 至弘 龍谷大学, 理工学部, 教授 (30127063)
中村 裕一 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (40227947)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ガイドシステム / 博物館 / 身体性 / 集合知 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、計画通りに言語資源を引き続き収集し、関連研究のサーベイを進めながら、身体的インタラクションを測定・記録するために試作した基本システムを改良するために、ユーザの多様で個性的な興味や関心に関連する情報を、その身体的インタラクションに対応して示す方法について検討を行った。まず、ユーザの負担を軽減するため、メガネ型ウェアラブルデバイスではなく、環境に設置したカメラを用いて、ユーザの顔の向き・体幹の向き・手と肘の位置を高精度に推定し、その身体的インタラクションを記録できる環境を構築した。次に、ユーザの指差し動作を検出すると、ユーザが指示しているものや場所を推定し、それらに関連づけてユーザのコメントを記録する方法について検討した。さらに、指差し動作によって指示した位置にポインタを表示するポインティングインタフェースを設計することを目的に、指示方法の多様性に着目し、種々の指示方法がどのような特性を持つのかを制御理論を用いて系全体をモデル化して解析する方法について検討した。また、複数の対象に対して注意を払う状態で、われわれがどのように注意を分配しているのかを推定するため、顔向き・手の向き・体幹の向きの分析を行った。その結果、注意分配の状態に対応する特徴的な動作のパターンが現れることを明らかにした。さらに、コミュニケーションのパターンを調査し、聞き手が不特定である場合、話し手の態度が言語によって異なることも明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
身体的インタラクションに対応した学習支援に利用する言語資源(博物館の展示資料・図録、wikipedia 日本語データ、Yahoo!知恵袋コーパス、新聞記事、百科事典、シソーラスなど) の収集と関連研究のサーベイは、引き続き予定通り行っている。 環境に設置したカメラを用いてユーザの身体的インタラクションを測定・記録する基本システムを予定通り改良し、指差し動作によってユーザが指示したもの・場所にユーザのコメントを関連づけて記録するシステムを試作した。 博物館をさまざまなできごとが発生する現場(フィールド) としてとらえ、われわれの注意分配と指示方法がどのような特性を持つのかについての研究は予定よりも早く進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29 年度は、平成28 年度に試作したシステムをさまざまな観点から改良する。具体的な改良として以下の項目を検討する。(1)身体的インタラクションに対応した集合知の作成、(2)さまざまなセンサによるユーザの行動記録の研究、(3)集合知の信頼性を損なうおそれのある情報やユーザの調査。(2)のユーザの行動記録を用いて作成する(1)の集合知の情報には、(3)の信頼性を損なうおそれのある情報が含まれるおそれがあり、それらを関連づけて研究を推進する。予定よりも進行しているユーザの注意分配と指示方法の研究についても、さまざまなセンサを利用する方法についてさらに検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を効率的・効果的に進めた結果、経費を削減することができた。
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次年度使用額の使用計画 |
削減した経費は、新開発されたセンサやデバイスの購入などに用いる。
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