1 高齢者と協働する博物館活動の実態把握と課題の明確化 ①先進事例調査:岩手県宮古市にて世代間交流活動「年中行事 馬っこつなぎ」、地域文化再現活動「粟餅をつくろう」の計2回の調査を実施した。その結果、当該活動では、博物館がコーディネーターとなり、博物館の普及事業の指導者として高齢者を新たに組織化したり、地域の老人会と緊密な連携を行うことで人材育成・確保がなされ、年中行事や食文化継承をテーマとする継続的な地域体験学習が実現できていた。雑穀の精白、製粉を伝統的な技術で体験できる水車小屋、雑穀試験畑といった博物館資源を、高齢者持つ地域ナレッジと有機的に組み合わせて、当地ならではの魅力ある学習素材とする等、運営手法の実際や支援ナレッジを収集できた。 2 高齢者と協働する地域資源学習プログラムの作成と評価 ①地域ナレッジの形式知化とプログラム作成:モデル組織と連携の上、朝日町では中学生と高齢者の世代間交流を目的とする対話型講座(計3回)を実施・記録化した。東旭川町では、地域資源マップの完成報告会を実施し、製作者が学習成果や地域の魅力を参加者に直接に伝達する場を実現できた。②プログラムの評価:朝日町では、高齢者へのアンケートで「来年以降も子ども達への教育を続けたい」等の意欲の高さや心身の良好な健康観といった波及効果が確認できた。東旭川町での報告会参加者アンケートでは、製作者による見どころ紹介もあってマップの面白さが伝わり、製作目的「マップは地域の魅力を子供たちや町外へ伝えるのに役立つ」等が多数で、製作者-参加者間で文化伝承への意欲が共有できた。 3 成果のまとめと普及 本研究成果は「博物館を拠点とした高齢者と協働する地域学習プログラム集」「士別市朝日町の歴史と文化: 回想法サロンと異世代交流の記録」として、2冊子と普及用CDを作成し、道内主要博物館・資料館、図書館等に配布した。
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