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2015 年度 実施状況報告書

10年後の被災都市におけるミュージアムの教育プログラム―ニューオリンズを事例に

研究課題

研究課題/領域番号 15K01154
研究機関独立行政法人国立美術館国立西洋美術館

研究代表者

横山 佐紀  独立行政法人国立美術館国立西洋美術館, 学芸課, 主任研究員 (70435741)

研究期間 (年度) 2015-10-21 – 2019-03-31
キーワード被災とミュージアム / 個人の物語 / モノと記憶 / 共同体の記憶 / ミュージアムの教育プログラム
研究実績の概要

今年度は、来年度4月のニューオリンズとニューヨークにおける現地調査に備えた文献および資料調査を中心に進め、並行して東日本大震災関連の博物館企画にも注目し、調査を行った。
来年度の現地調査の対象に予定しているルイジアナ州博物館(LSM)、ルイジアナ子ども博物館(LCM)〔以上、2005年のハリケーン・カトリーナの被災事例〕、ナショナル・セプテンバー11メモリアル&ミュージアム(911M&M)〔911のテロの被災事例〕の災害展示や教育普及プログラムについての情報収集を行った。その結果、LCMでは被災時に4歳から11歳だった子どもたち24人に行ったインタビュー動画をウェブ上で一般公開するかたわら、企画展"Katrina Voices"を行っていること、LSMでは常設展において"Living with Hurricane: Katrina and Beyond"が継続されていること、911M&Mでは厳密な基準にしたがった被災物の収集が現在も行われ、当事者によるメモリアル・ツアーが行われていることなどが明らかとなった。一方、国内の事例については福島県立博物館における特別展「震災遺構を考える―ガレキから我歴へ」査、および関連プログラム(シンポジウム「震災遺構を考える―震災を伝えるために」(2016年3月19日)、「3Dデジタル震災遺構アーカイブ体験」)を調査した。
以上を通じて得ている現時点での予測は以下のとおりである。すなわち、モノの保存ばかりでなくモノにまつわる「物語」がきわめて重要であり、モノが私的であればあるほど個人の物語とモノの相補的関係が不可欠となるであろうこと、かつ当事者の物語の多様なあり方を認める寛容性が必要であろうことである。これらの課題が展示空間や教育プログラムを通じてどのように実現されているのかについては、28年度の現地調査において検証予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

年度途中からの研究開始となったため研究計画の見直しをはかり、本年度はまずは文献調査および国内におけるミュージアム調査に集中し、来年度早々の現地調査に備えることとした。その結果、東日本大震災によって被災したミュージアムの5年後の状況を把握し、来年度以降のアメリカにおけるケースとの比較に向けた情報収集を行うことができたと考えている。これに伴い、概要に記したとおり、アメリカにおける現地調査にあたっての課題も明らかとなり、具体的な調査事項を整理することができた。

今後の研究の推進方策

次年度は、まずはLSMにおけるハリケーン・カトリーナ展示担当者、LCM教育担当者、911M&M教育担当者へのインタビュー調査を実施し、今年度の予測の確認、検証を行う。また、いずれの被災事例も発生から10年以上を経て文献がある程度出そろっているため、2年目となる28年度は、国内外の文献の渉猟、整理を重点的に進めたい。一方で、国内における事例について歴史的文脈を考慮するためには対象の幅を広げる必要があり、「展示(モノ)と物語」の視点から、平和記念資料館が行っている教育プログラムを射程に入れる予定である。

次年度使用額が生じた理由

10月からの採択事業となったため、申請時に予定していた現地調査を年度内に実施することができなかった。

次年度使用額の使用計画

発生した次年度使用額については、平成28年度に現地調査を実施し、またデータ整理のために必要な機器の購入に充てるものとする。また、史資料の渉猟も引き続き重点的に行う。

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公開日: 2017-01-06  

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