研究課題/領域番号 |
15K01165
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高木 彰彦 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (90197054)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 訪日外国人旅行者 / ボーダーツアー(国境観光) / 境界(国境)研究 / クルーズ船 / ツーリズム / 石垣島 / 福岡市 |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究実績は以下の通りである。 1.境界研究に関する文献・資料の収集と整理:英語文献を中心に数冊の文献を購入し読み進めている。法務省入国管理統計の最新データを収集し、出入国者の動向を把握した。 2.日露国境観光の可能性の検討:国境地域研究センターが2015年6月15-19日に開催した「サハリン国境モニターツアー」に参加し、国境観光を体験するとともに、今後の可能性を探った。このツアーの模様はNHKのニュースで報道されたほか、北海道新聞や毎日新聞などでも紹介され、筆者のコメントも紹介された。 3.石垣島における訪日外国人に関する調査:台湾からのクルーズ船を利用して石垣島を訪れる外国人観光客について、10月と12月に現地調査を実施した。10月にはクルーズ船の乗客のうち500名ほどを対象としてアンケート調査を実施した。これらの調査結果の概要を「訪日外国人旅行者の増加と国境地域の変容-石垣島の事例」という論文にまとめ史淵153(2016)に掲載した。 4.福岡市における訪日外国人に関する調査:中国からのクルーズ船を利用した「爆買い」と呼ばれる現象に着目し、博多港および免税店などを訪れ現地調査を実施した。今回は予備調査で、本格的な調査は平成28年度以降に実施する。 5.学会参加:海外:8月にロシアのモスクワで開催された国際地理学連合モスクワ地域会議に参加し、国境関係のセッションに出席し、意見交換した。10月に中国の上海で開催された第10回中日韓地理学会議に参加し、本研究の石垣島および福岡市における調査結果の概要を発表した。国内:9月・3月の日本地理学会、11月の人文地理学会に参加し、国境地域や観光地理に関する報告を聞き、意見交換した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
石垣島での訪日外国人旅行者に関する調査は概ね順調に推移している。しかし、石垣島での調査を踏まえて、3月に台湾に行き、送り出し側の事情について現地調査を実施する予定だったが、先方との連絡に予想以上に時間を要し、先方からの許可が得られていないため、調査時期の目処がたっていない。そのため、石垣島を訪れる外国人観光客の調査全体がやや遅れることとなった。先方からの許可が得られしだい、調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1.境界関連文献・資料の収集・分析は、前年度に引き続き平成28年度以降も継続する。 2.現地調査は、石垣島・台湾での調査を終えたら、対馬および韓国での調査に入る予定にしており、平成28年度はこれを重点的に実施する。さらに、平成29年度は、福岡・長崎におけるクルーズ船観光客に関する調査を実施する予定である。 3.学会発表は引き続き行う。平成28年度は8月に中国広州で開かれる国際地理学連合政治地理学委員会にて報告予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年12月時点では、研究が予定以上に進捗しており、平成28年3月に台湾で現地調査を実施する予定で、同年1月に300,000円の前倒し請求を行った。しかしながら、台湾での訪問先との日程調整がうまく行かず、3月中の調査を断念せざるを得なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
台湾の訪問先とは現在も日程の調整を行っており、調整がつきしだい、台湾に出かけて訪問調査を実施する予定である。調査日程が6月以降にずれ込むようだと、通訳担当者の確保が困難になるため、台湾での調査を断念し、計画変更を検討することにしたい。
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