研究課題/領域番号 |
15K01165
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高木 彰彦 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (90197054)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ボーダーツーリズム / 国境地域 / ボーダースタディーズ |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度の成果を踏まえ、台湾および八重山におけるボーダーツーリズムの研究動向を把握するとともに、6月には八重山・台湾ボーダーツアーに参加し、国境地域の変容の一端を把握した。8月には、中国広州で開催された国際地理学連合広州会議に参加し、前年度の研究成果をまとめた研究発表を行った。この研究発表は台湾からの研究者の関心が高かったようで、多くの質問が寄せられた。広州では、深センと香港の境界地域の様子を観察し、見分を深めることができた。 一方、昨年度企画していた月刊「地理」誌の連載企画が実現し、2016年4月号から一年間にわたって「ボーダースタディーズで世界を読み解く」という連載を掲載した。以下、そのタイトルのみ記す。「ボーダースタディーズへの招待」-連載をはじめるにあたって」「ボーダレスな世界とボーダフルな世界-フィルターとしての国境」「境界,領域,『領土の罠』-概念の理解のために」「日本の境界地域を考える」「対馬・釜山のボーダーツーリズムの展開-境界地域の資源としての国境」「北海道のボーダーツーリズムの展開-連携でボーダーツーリズムを創る」「八重山・台湾ボーダーツーリズムの展開-実現までの取組から見えてきた普及・展開への課題」「構築される領土:竹島,尖閣,北方領土」「先住民と境界-米国メキシコ国境地帯に暮らす先住民の現在」「移民と境界」「国境間地域の連続性と不連続性」「占領地域におけるコミュニティ主導のツーリズムと境界」。この連載は、編集者によれば、読者からの評判は良かったようで、境界研究の進捗において一定の影響力をもたらしたと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
旅行業者の事情により、年度当初に予定していた台湾での調査が実施できなかった。しかし、これについては6月に参加した八重山・台湾ボーダーツアーに参加したことにより、台湾におけるツアーの参加状況について、関係者から話を聞くことができたため、送り出し側の事情はある程度把握することができた。 また、2年目に予定していた対馬・韓国における調査も準備が整わなかったため実現できなかった。これについては、最終年度に実施することにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度においては、対馬をめぐるボーダーツーリズムと国境地域の変容の動向を把握し、対馬および韓国における研究の進捗を図る。さらに、これまでの研究のまとめを行い、国境地域の変容に関する報告書の刊行を実現したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
プリンタが故障してカラー印刷ができなくなったことと、使用しているデスクトップパソコンのOSがvistaで4月に更新サービス停止となるため、3月中にパソコンとプリンタを買い替える予定だったが、3月に入院・手術したため、機器の選定や発注作業が年度内に間に合わず、次年度の使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
故障したプリンタとサービスを停止したデスクトップパソコンの更新を4月中に行う。
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