研究課題/領域番号 |
15K01165
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高木 彰彦 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (90197054)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ボーダースタディーズ / 対馬市 / 稚内市 / サハリン / 国境地域 / ボーダーツーリズム |
研究実績の概要 |
本年度は、前半にボーダースタディーズ関連の書籍をいくつか購入し読み進めた。9月以降には、稚内市と対馬市で現地調査を実施した。稚内市での現地調査は9月に実施し、稚内市役所サハリン課、稚内市立図書館、地元の観光業者などを訪れ、聞き取り調査および資料を収集した。その結果、サハリン課の由来はサハリンの油田開発を行うサハリンプロジェクトに起源があり、1990年代に開設されたサハリン航路も同プロジェクトと密接な関りを持つこと、稚内市ではサハリン事務所を設けるなどして、サハリンとの交流を積極的に図り、地元の観光業者がこうした交流を積極的に支えてきたことが明らかになった。 また、対馬市での調査は11月および12月に3回実施した。11月には、境界地域研究ネットワークJIBSNが対馬市で開いた、JIBSN対馬セミナー2017「変貌するボーダー-境界地域・観光とボーダーを考える」および対馬・釜山ボーダーツアーに参加するとともに、セミナーが開かれた厳原市街地において、韓国人観光客の観光行動および地元業者・住民の対応について観察・聞き取り調査を行った。12月に実施した現地調査は、1回目は対馬市役所と比田勝地区で実施し、インバウンド観光の最近の変化とそれに対する地元の対応について聞き取りを行った。さらに、近年変貌著しい比田勝地区中心部における商店街等の現況について、住宅地図を利用して現地観察を行った。2回目の調査は12月下旬に実施し、厳原地区中心商店街の現況について、住宅地図を用いて現地観察を行った。 以上のように、対馬における3回の調査によって研究は大いに進捗したものの、研究の取りまとめを行うには、なお必要な調査事項が残っており、年度末には調査のための時間が取れないことから、補助事業期間延長承認申請書を提出し、承認された。平成30年度に補足調査および報告書の作成を行う予定にしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本来なら今年度が研究期間の最終年度であり、研究の取りまとめを行う必要があったが、年度末の多忙な時期に研究の取りまとめと報告書の作成を行うことが困難になってきたため、研究期間を延長することにした。補助事業期間延長承認申請書を提出し承認された。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は研究報告書の作成を中心に行う。報告書に盛り込む内容は、境界研究の理論・方法論の研究動向の整理、日本におけるインバウンド観光の変化、クルーズ船による観光の動向、平成29年度実施した対馬での調査のとりまとめ、などである。これらの研究成果の概要については、本年9月に福岡で開催される世界社会科学フォーラムで発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の計画の遅れにより、補助事業期間延長承認申請書を提出して承認されたため、研究機関を一年間延長することにした。そのため、本年度中に執行する予定だった経費を来年度に執行することにした。
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