研究課題/領域番号 |
15K01167
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
濱田 純一 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 特任准教授 (50359212)
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研究分担者 |
森 修一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 大気海洋相互作用研究分野, 分野長代理 (00344309)
伍 培明 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 大気海洋相互作用研究分野, 主任研究員 (00360751)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 気候システム / 熱帯気象 / 降水システム / モンスーン / 気候変動 / 海大陸 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、1.インドネシア海大陸域の降水データベース(地上雨量計・気象レーダー)を構築し、豪雨出現の時空間分布、及び豪雨をもたらすメソスケール対流システム(MCS)の生成・発達過程に関する動態把握を行うこと、2.豪雨発生環境を指標化すると共に、数値実験を通した豪雨生成メカニズムの解明を進めること、3.降水年々変動に及ぼす冬季アジアモンスーンの影響をエルニーニョ・南方振動(ENSO)とも対比し、定量的に評価することを目的としている。
今年度(研究初年度)は、1.海大陸域の降水データベース作成作業を進めることを第一の目的とし、その上で、主として2.豪雨出現の動態把握を開始し、豪雨など降水極端現象の発生頻度分布解析を実施した。特にインドネシア気象気候地球物理庁(BMKG)によるインドネシア東部スラウェシ島及びマルク諸島の長期地上日雨量データ(1972年~2012年、23地点)を基に、豪雨を始めとする降水極端現象の出現頻度の年々変動とENSOとの関連の地域性及び季節性を調べ、エルニーニョ(ラニーニャ)年に少雨(多雨)傾向であること、エルニーニョ年に無降水日が二ヶ月以上増加し、旱魃状態となることや、豪雨出現の年々変動が雨季の中心ではなく、乾季と雨季の遷移期に顕著なことなどを明らかにした(Lestari et al. 2016)。また、スマトラ島西岸のベンクルで実施されたPre-YMC (Years of the Maritime Continent: http://www.jamstec.go.jp/ymc/ymc_japanese.html)集中観測に参画し、スマトラ島沿岸多雨域におけるMCSの生成・発達過程の解析に資する、現地Cバンドドップラー気象レーダーデータを入手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地上雨量計、気象レーダーデータの収集・整理を開始し、海大陸域の豪雨解析に必要な基本的なデータセットとなる、海大陸降水観測データベースの構築を進めた。また、初期解析結果として、海大陸域東部における降水極端現象経年変動に及ぼすENSOの影響について調べ、論文発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度以降も、引き続き1.海大陸域降水観測データセットの構築を進め、2.気象レーダーデータ解析によるMCSの動態把握、ならびに数値実験等による豪雨発生メカニズム解明に向けた解析を実施する。また、3.降水観測データセットの統合解析より、コールドサージなど冬季アジアモンスーンが海大陸域の降水変動に及ぼす影響評価を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
Pre-YMC集中観測参加時など、他研究課題予算でのインドネシア出張の機会を利用し、現地降水観測データの収集を進め、支出(海外旅費)を抑えた上で当初予定の計画を遂行したため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度実施しなかったインドネシア出張(海外旅費)を、平成28年度前半に実施し、現地研究協力者との研究打合せを通して、降水観測データセット構築や、それに基づくデータ解析を効果的に進める。
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