本年度は、昨年度末に自然災害対応で行えなかった研究の取りまとめを行った。具体的には、これまで行ってきた平坦地形に立地する風力発電所と複雑地形に立地する風力発電所を対象とした領域気象モデルを用いた風況再現シミュレーションの再現性や発電量の予測精度について精査した。 その結果、発電量の予測精度には風向と風速が大きく影響を及ぼすが、風向については弱風時を除き平坦地形上の発電所と複雑地形上の発電所ともに大きな計算誤差はなく、風速と比較すると発電量の予測精度への影響は少ないことが分かった。一方で、風速については計算事例ごとに予測精度のばらつきが見られ、平坦地形上の発電所と複雑地形上の発電所について比較すると、複雑地形における予測精度のばらつきの方が大きいとの結果が得られた。複雑地形上の発電所では、発電機のある斜面に対して風が吹き上げるか吹き降ろすかによっても発電特性が異なるため、それらが予測精度に影響を与えていると考えられる。そのため、複雑地形上の発電所の発電量予測に当たっては、立地場所周辺の詳細な地表面データと高解像度のシミュレーションが必要であることが分かった。
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