研究課題
【研究目的】本研究の目的は,高齢者が健康な食生活を維持するために必要な食料品群(以下,食品群指標)を選定するとともに,実際に食料品店がどの程度食料品群を充足しているのか(以下,食料品充足度)を,研究対象地域ごとに調査することにある。これまで,買い物環境は食料品アクセス(店舗からの距離)のみから計測されてきた。本研究では食料品アクセスに食料品充足度を加味することで,高齢者の買い物環境をより正確に反映した地図(以下,改良版食料品アクセスマップ)を作成した。【研究成果】本研究の成果は,下記の2点である。①食品群指標の作成。②事例地域における食料品充足度調査の実施と,改良版食料品アクセスマップの作成。①については,栄養学の専門家から協力を得つつ,食品群指標を作成した。具体的には,厚生労働省の「国民健康栄養調査食品群」に準じ,13の小分類(イモ類,豆類,種実類,緑黄色野菜,その他野菜,果物,きのこ類,藻類,魚介類,肉類,卵類,乳類,油脂類)に該当する54の食品群を選定した。これらを生鮮食品と加工食品に分けてリスト化し,調査票を作った。②については,茨城県牛久市および鹿児島県肝属郡南大隅町を事例に,全ての食料品店(スーパー,コンビニ,ドラッグストア,ディスカウントストア,移動販売車)で,食料品充足度調査を実施した。調査結果から,一部のコンビニやドラッグストアでは,スーパーに準じる充実した食料品群を供給していることが分かった。これらの知見をもとに,改良版食料品アクセスマップを作成した。また,住民の食生活や購買行動に関するアンケート調査を実施した。その結果,改良版食料品アクセスマップは,従来のアクセスマップよりも,高齢者の買い物環境を正確に反映していることが明らかとなった。
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E-Journal GEO
巻: 11(2) ページ: 526-551
https://doi.org/10.4157/ejgeo.11.526