日本アルプスの山地帯以高に発達する地形地質現象のうち、岩盤重力変形と大規模地すべりに焦点を当て、これらが更新世後期以降の景観形成にどれほど重要な役割を果たしてきたのかを、地形学・地質学の観点で明らかにすることを目的とした。 岩盤重力変形や大規模地すべりは斜度や方位、起伏量などの斜面要素を大小の空間スケールにおいて複雑化し、堅固な基盤岩を脆弱化・細粒化する働きを持つ。岩盤重力変形や大規模地すべりは微気候や水文条件も複雑化し、植生や生物の分布に影響する。上高地周辺や西駒ヶ岳、鳳凰三山等での踏査や空撮を通じ、このような自然環境の成立系について地形解析、地質記載、年代データ等に基づき議論した。
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