本研究は、19世紀後半から20世紀初頭にかけての近代化の時代に展開した地域変化を、人・資本・技術・物・情報のグローバルな移動と越境に着目して明らかにすることを目的として、アメリカ西部におけるテンサイ糖産業ついて検討した。主な製糖地域であるコロラド州、カリフォルニア州、ユタ州、アイダホ州を対象として、灌漑事業、テンサイ栽培、資本や技術の導入について明らかにするとともに、日本人、ロシア系ドイツ人、メキシコ人、モルモン教徒が果たした役割について考察した。こうした作業を通して、アメリカ西部のテンサイ糖産業をサトウキビ糖を含めたグローバルな枠組みに位置づける必要性が明確になった。
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