研究実績の概要 |
SRTMのノイズが除去されたMERIT DEM(Yamazaki et al., 2017)から内挿した280mDEMを用い、ポリゴンベースのグローバルな地形分類データを作成する手法を開発した。パラメータは先行研究(Iwahashi and Pike,2007)の地形量(斜面傾斜、尾根谷密度、凸部の分布密度)を用いつつ、中解像度での地形分類とポリゴン出力という目的に合ったチューニング手法を検討した。最終的には、領域分割・機械学習・階層クラスタリングにより全球の地形分類図を完成させた。クラスタのグルーピングにあたっては、日本の既存の地質・地形分類データと比較することにより、地形・地質的に異なる特徴を持つグループを検出した。成果の分類図は、1kmDEMを用いた先行研究より、段丘地形の抽出や1km以下のサイズの地形の分類について明らかに進歩した。また、岩盤山地、丘陵、高地の長大斜面、中間的地形(台地、段丘、低地の長大斜面)、平野を識別するのに概ね適当であった。さらに、アメリカUSGS・カリフォルニア工科大学の地震学・地盤工学・GISの研究者と共に、Vs30(表層30mのS波速度)と地形分類図の比較検討を行い、地盤分類への利用の方向性も示された。これらの成果は国際学会および論文で公表した。USGSの研究者を招聘し、産総研地質・防災科研・東大地震研の研究者とも交流・情報共有を行った。残された課題としては、DEMの精度の問題と人工地形により平野の微高地が十分には識別できなかったこと、異なる地質構造区あるいは気候区の下では局所地形に留まらずその影響を加味したグローバル・ローカル双方の知識の必要性が明らかになった事がある。これらの課題は、本研究によってつながったMERIT DEMの作者・海外の研究協力者も加えたチームにより次期科研費(18H00769)で解決していく所存である。
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