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2016 年度 実施状況報告書

内生的かつ動的な社会・経済システムにおける主体の意思決定・行動にかんする研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K01180
研究機関山口大学

研究代表者

山田 隆志  山口大学, 国際総合科学部, 准教授 (90401570)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードマルチエージェント実験経済学 / モデリング / 意思決定 / 学習 / 異質性
研究実績の概要

Lowest Unique Integer Game (*1) の被験者実験を関西大学で実施した。この実験では、各ラウンドで被験者に1から上限までの数字への重みを入力させてランダムに選ばれた一数字を自らの手として勝敗を決めるもので、以前の実験のような各ラウンドで一つの数字を選ぶものとは異なり、どのように戦略を混合させるのかという具体的なプロセスを観察できる。このような実験を一グループの人数が三人と四人のゲームについて実験と分析を行った。一般的な結果は以下の通りである: まず、被験者は小さい数字ほどより多くの重みを与える。しかし、これはゲームの勝敗には依存しない。次に、被験者が与える重みと混合戦略均衡とのユークリッド距離はラウンドが進むにつれて大きくなる。これは Bloomfield (1994) で報告された結果を支持している。さらに、被験者の入力とその変動のパターンは混合戦略均衡とのユークリッド距離(長い or 短い)とラウンド間のユークリッド距離(長い or 短い)の二尺度によって四通りに分けられた。特に、双方のユークリッド距離が短い被験者がどちらの設定でもおよそ三分の一ずつ存在することが確認され、以前の実験では正確に確認されなかった混合戦略均衡に近い行動をするプレイヤがこのゲームで存在することが示された。
一方、オンライン広告枠オークション (*2) については、これまでの手法とそこから得られた結果とは別に、ナップサック問題に帰着させて組み合わせ最適化を解く手法を採用した。これにより、これまでよりもより効率的な入札戦略に帰着させることが出来た。
*1: N 人のプレイヤが存在し、M 以下の正の整数を提出し、他の誰も考えていない最も小さな整数を考えたプレイヤが勝つゲーム。
*2: Web 広告枠をリアルタイムにオークション形式で買いつけ、配信を行うもの。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Lowest Unique Integer Game の実験とその分析に時間をとられたため、Swedish Lottery (*3) と Lowest Unique Bid Auction (*4) の実験がその分遅れてしまった。
*3: Lowest Unique Integer Game においてプレイヤ数 N が不定なもの。
*4: 価値 V を持つ財のオークションを Swedish Lottery の形式で行うもの。参入コストを C、落札者の入札額を B とすると、オークションに勝ったときの利得は V-B-C であり、負けたときの利得は -C となる。

今後の研究の推進方策

Swedish Lottery と Lowest Unique Bid Auction の実験を始めるとともに、Poisson Game など関連するゲーム設定に基づいたモデリングを進める。

オンライン広告枠オークションでは、ウェブサイトへの訪問者と競合する入札者の行動が不確実である場合を考慮した分析と戦略提案を進める。必要に応じて新たなデータを購入し、その分析結果を取り込む。

次年度使用額が生じた理由

Lowest Unique Integer Game の実験とその分析が思うように進まずに、その後の実験を始めることが出来なかった。これはオンライン広告枠オークションの分析も同様で、新たなデータを購入する段階まで進められなかった。

次年度使用額の使用計画

オンライン広告枠オークションのデータ購入に500千円、被験者実験に500千円、英語校閲に100千円、それに別刷り代に300千円を割り当てる予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] Universite Cote d'Azur(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      Universite Cote d'Azur
  • [雑誌論文] エージェントシミュレーションを用いた金融規制が金融機関の連動的な破綻に与える影響の分析2016

    • 著者名/発表者名
      菊地 剛正, 國上 真章, 山田 隆志, 高橋 大志, 寺野 隆雄
    • 雑誌名

      人工知能学会論文誌

      巻: 31 ページ: AG-G_1-11

    • DOI

      http://doi.org/10.1527/tjsai.AG-G

    • 査読あり
  • [雑誌論文] エージェントシミュレーションを用いた中央銀行の資金供給が金融機関の連動的な破綻に与える影響の分析2016

    • 著者名/発表者名
      菊地 剛正, 國上 真章, 山田 隆志, 高橋 大志, 寺野 隆雄
    • 雑誌名

      経営情報学会誌

      巻: 25 ページ: 169-186

    • 査読あり
  • [学会発表] Laboratory experiment and evolutionary competition in lowest unique integer games2016

    • 著者名/発表者名
      YAMADA Takashi
    • 学会等名
      12th Artificial Economics Conference
    • 発表場所
      Rome, Italy
    • 年月日
      2016-09-20 – 2016-09-21
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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