最終年度では,これまでの実験により得られたデータの分析を完了し,消費者個人が知覚する重要な商品情報の観点から認知プロセスの特徴の分析を実施した.各消費者の傾向・特徴と個人の属性との関係についても考察し,示唆を得た.総括として,眼球運動解析を用いることの学術的・実務的意義と,そこから派生した新たな認知タスクの分析方法の適用可能性・有効性についても考察した.具体的には以下の2点について成果を得た. 自由行動下での実験により得られたデータの分析を実施した.広くMADMを対象に一般化した方法を構築,さらに適用をすることにより,眼球運動の推移パターンから推測される,商品の吟味時に個人が主観的に重要だと知覚している情報について抽出を試みた.さらに,この方法を実務における具体的な問題発見・解決への抽出に向けた適用を狙い,実店舗内における情報表示に存在する潜在的問題点の抽出および解決に向けた指針を得るための分析手順に落とし込み,こちらについても方法論として整備をした. これまでの研究成果を総合し,本研究で構築した方法に関して,背後にある学術的根拠,適用可能な条件,適用をサポートするツール,ならびに限界を整理し,方法論の学術的・社会的意義,有用性,実施上の注意点,今後の課題についてまとめた.また,研究の中で実施した実験と実作業環境下での観測を通してわかった各種の知見についても,体系立てて整理し,今後の研究方針としてまとめた.
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