研究課題/領域番号 |
15K01184
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
久保 幹雄 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (60225191)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | サプライ・チェイン / リスク管理 / 人道支援ロジスティクス |
研究実績の概要 |
サプライ・チェインの効率性だけでなく,リスクを考慮して柔軟かつ頑強なサプライ・チェインを設計,管理,運用するための理論体系としてサプライ・チェイン・リスク管理(supply chain risk management)がある.本研究では,サプライ・チェイン・リスク管理に対して数理最適化理論の適用を行った.リスクを取り入れた数理最適化モデルとしては,古典的な確率最適化と途絶に対処するための途絶最適化がある.我々は,両者を融合した枠組みとして「リスク最適化」を提案した.幾つかの企業へのヒヤリングから抽出した複雑なサプライ・チェインの実際問題をモデル化する際には,確率最適化や途絶最適化の枠組みだけでは十分ではなく,より広い観点からのモデル化が必須となる. また,人道支援ロジスティクスに関しては,以下の4つの数理最適化モデルを構築した.1)準備フェイズにおける備蓄品の最適配置モデル(準備フェイズにおける重要な問題の1つであり,どこにどの程度の緊急支援物資を備蓄するかを決定するモデル).2)応答フェイズにおける多期間輸送・在庫モデル(災害発生時にどの集積所を利用して避難所に救援物資を輸送するかを決定するモデル),3)応答フェイズにおける多期間在庫・配送計画モデル(多期間を考慮した配送計画に避難所における在庫の適正化を加味したモデル)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の最適化モデルの開発を完了している. 1. 確率的在庫モデル(途絶を考慮した多期間の確率的在庫モデルに対して,発注量を過去の情報に対するアフィン関数として定義した適応型モデルについて考えた.また,数理最適化モデルに基づく実験により,静的発注量モデルを用いたローリングホライズン方式との比較,容量制約を加味した場合の拡張モデルとの比較,途絶の影響に対する解析を行った.)2.ネットワーク設計モデル,3.収益管理モデル(多期間の在庫モデルに価格の変更を導入したモデル(動的価格付けモデル)について考え,2通りの需要の不確実性(加法的,乗法的)に対する実験的解析を行い,需要の変動の価格付けに対する影響を調べた.)
人道支援ロジスティクスにおいては,以下の3つのモデルを構築した.・準備フェイズにおける備蓄品の最適配置モデル・応答フェイズにおける多期間輸送・在庫モデル ・応答フェイズにおける多期間在庫・配送計画モデル
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今後の研究の推進方策 |
人道支援ロジスティクスに関しては、新たに他大学・他機関との共同研究を科研(B)にて開始した。これにより、他大学・他機関と連携してさらなる研究を高める予定である。
リスク最適化モデルに関しては,実験的解析ならびに実問題への適用を行う予定である..企業との連携は,申請者が主催するフォーラム(Supply Chain Risk Management Forum)のメンバーでもあり,リスクに関しての専門家を有する複数の企業に依頼する.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度から新たな共同研究が科研(B)にて開始されるため、さらに実証実験をおこなうこととなる。 大企業のデータを取り扱うので、データが膨大となり、その実験も大規模化されることが想定される。 これにより、今までより予算が必要であると考え、未使用分として予算を残した。
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次年度使用額の使用計画 |
主に企業へのヒヤリングに対する旅費として使用する予定である.
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