研究課題/領域番号 |
15K01188
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松井 啓之 京都大学, 経営管理大学院, 教授 (90272682)
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研究分担者 |
小野 功 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (00304551)
森 直樹 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90295717)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 社会シミュレーション / 人工市場 / マルチエージェント |
研究実績の概要 |
経済のグルーバル化とIT化が進む中で通貨や金融システムも一方でグローバルな巨大化が、他方で電子化による取引の高速化が進んでおり、現行のシステムは種々の課題を抱えている。特に、超高速取引が一般化している証券市場や外国為替市場状況を適切に制御する方策について社会シミュレーションによる人工市場を用いアプローチを行なっている。さらに、新しい市場取引形態としての企業発行通貨に関しては、ゲーミングシミュレーション手法によるアプローチを試みている。 まず、超高速取引を実現するためのアルゴリズムについて、既存研究における課題を明らかにし、シミュレーション用の新たなモデルを提案し、その妥当性について検討を行なった。また、市場取引の社会シミュレーションに関しては、昨年度進めた逆問題として標準エージェントセットの構成をベースに具体的な取引ための戦略として、現実社会における一般的な取引戦略であるデイトレーディングを人工知能の技術を用いエージェントに学習させる方策について検討を進めた。さらに、これらの取引状況から、現実の市場と人工市場との違いや類似点について明らかにすることで、大規模シミュレーションを実施するための準備を整えた。 なお、企業発行通貨に関するゲーミングシミュレーション手法について、ヨーロッパにおけるゲーミングシミュレーション研究の中核であるデルフト工科大学のgamelabの関係者(Dr. rer.soc. Heide k. Lukosch)と協議を行い、協力関係を得られることとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
取引エージェントのアルゴリズムおよび構成に関する成果は上がっているが、本研究の中核である、超高速取引に対応した各種モデルの実装がまだ不十分であり、大規模シミュレーションを本格的に稼働するに至っていない。その結果として十分な成果をあげるに至っていないことから、本評価となった。
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今後の研究の推進方策 |
テスト運用している大規模シミュレーションの本格的実施体制を早急に整え、超高速取引におけるシミュレーション及びゲーミングシミュレーションとして開発している企業発行通貨(ポイント)に関する社会シミュレーションの実装とシミュレーションの実施を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
大規模シミュレーションを実施するためにスーパーコンピュータ利用料金を計上したが、当初予定よりも利用しなかった。また、海外の研究者と研究連携を図るための旅費の執行を予定していたが、別予算で実施することになったため、次年度へ繰越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
大規模シミュレーションを実施するために必要なスーパーコンピュータの利用料金及び、昨年度執行せずに済んだ海外連携のための海外出張旅費として執行を予定している。
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