研究課題/領域番号 |
15K01196
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
谷水 義隆 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60275279)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | グリーンサプライチェーン / 遺伝的アルゴリズム / 動的最適化 |
研究実績の概要 |
環境問題を継続して推進するためには,環境保全の活動に経済的優位性を高める仕組みが必要である.本研究は,経済性を考慮した「リバースサプライチェーン(Reverse supply chain: RSC)」 の動的な運用方法について提案を行う.ここでは,再製造企業が再生部品の需要の変動を考慮して,消費者の製品の廃棄を抑制または促進する方法「Pull型RSCモデル」を提案し,その経済性評価と実験的検証を行う.また,進化型計算手法を用いた分解・再生スケジュールの動的適化手法を提案し,実環境における有効性を検証する.さらに,使用済み製品(二次電池)のエージェント化による実証実験を行い,新たな環境ビジネスモデルの創出に貢献したいと考えている. 平成29年度は,二次電池のリユースを想定したリバースサプライチェーンのプロトタイプを構築し,実証実験の可能性について検討した. まず,電子負荷方式で二次電池の放電特性を評価し,蓄電能力の時間変化(劣化)から二次電池の価値の減少関数を作成し,RSC モデルを構築した.しかし,実際の二次電池では,充電時と非充電時における放電特性の評価値が大きく変動することが確認された.そのため,数値解析手法を導入することで,真の放電特性を算出し,将来の時点における二次電池の劣化度をより正確に予測する手法を提案した.さらに,サプライチェーンシミュレーションにより,その補正を考慮することで,より多くの二次電池が適切に回収されるだけでなく,再製造企業の利益も向上することが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
二次電池は,充電時と非充電時における放電特性の評価値が大きく変動することが実機を用いた実験により確認された.当初の計画では,非充電時における二次電池の放電特性のみを対象とする予定であった.しかし,実際の使用状況を加味すると,自動車の車載二次電池のように,充電と非充電が繰り返し行われることから,使用状況の違いによる放電特性の評価値の変動を無視することはできないと考えた.そこで,数値解析手法を新たに導入し,使用状況に依存せず,放電特性の評価値を算出できるように研究活動を発展させた.これにより,当初の計画で示した実証実験までは十分に行うことができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
より精緻な結果が得られるようにRSCモデルを拡張し,二次電池のリユースを想定した実証実験を行うことで,有効性を検証する.また,複数台の二次電池エージェントを用いた実証実験についても検討したいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) より精緻な結果が得られるようにRSCモデルを拡張したことで,二次電池のリユースを想定した実証実験を行うことを十分に行うことができなかった. (使用計画) 実証実験を行うための経費とする.また,複数台の二次電池エージェントを用いた実証実験についても検討したいと考えている.さらに,研究成果をまとめ,広く発表するための経費としても使用したい.
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