交付申請書に記載した内容ならびに昨年度の進捗状況を踏まえ、本年度は具体的に以下の成果を得ることができた。 1.昨年度に研究成果を得ることのできた「コア製品をもとにしたカスタマイゼーション」、及び「サプライチェーン・ネットワーク上の企業間の連携」について、後述のようにそれぞれ論文にまとめることができ、いずれの論文も掲載または要請に基づき改訂中のステータスまで進めることができた。 2.主に今年度の実施予定であった、「プラットフォーム企業のカスタマイゼーション」については、まずネットワーク外部性が非対称であるプラットフォーム企業間の製品ポジショニングの競争について均衡分析を行い、従来研究で得られていた対称な企業間による結果とは異なり、後手優位となる可能性が多々存在するという示唆を得ることができた。 さらに、前年から着手した、稀少品に関する生産マネジメントについても、独占企業の多期間にわたる価格・生産戦略についての理論モデルを構築し、消費者の稀少性に対する諸パラメータに依存した最適戦略について、解析的な結果を導出することができた。 3.「広告戦略(共創活動など)としてのカスタマイゼーション」については、プラットフォーム企業が個々の消費者と商品企画を進めるプロセスについて、ゲーム理論によるモデル化を進めた。加えて、消費者自らが金銭的インセンティヴを持たずに自主的に広告を行う「アンバサダー・マーケティング」についてのモデル化に着手した。これらについては期間内までに均衡分析を得るまでには至らなかったが、研究期間終了後も引き続き検討を進める予定である。 なおこれらの成果について、今年度は2本の論文が海外学術雑誌に掲載され、2本の論文が現在、要請に基づき改訂中、さらに2本の論文が現在審査中のステータスとなっている。また、関連の内容で国際・国内学会発表も行った。
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