研究課題/領域番号 |
15K01207
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
鈴木 知道 東京理科大学, 理工学部経営工学科, 教授 (50251369)
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研究分担者 |
佐野 夏樹 統計数理研究所, リスク解析戦略研究センター, 外来研究員 (60568971)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 質的データ / 精確さ / 精度 / 測定精度 / 二値データ / 順序カテゴリカルデータ / ISO 5725 |
研究実績の概要 |
測定方法の精度評価は,一般的に測定結果が計量値であること,すなわち連続分布に従うことを前提とした方法論に基づいている.しかしながら,測定結果が質的データで得られる場合(例えば,工業製品の合格・不合格,環境汚染物質の検出・不検出)の精度評価方法は確立されていない.対象が質的データである測定方法に対しての統一的な精度評価方法を確立することは,計測の分野においても世界的に求められている.これら現状を鑑み,本研究課題では,最終的には質的データに対する測定精度評価法を確立することが目的となる.それは,新たな方法を一から創り出すのではなく,計測の現場で求められていることを明確にすること,そして既存の方法の適用範囲や特徴を明確にすること,を中心に理論と実践のギャップを埋めることが目的である.本研究の研究成果はISOの拠り所となり,発行されるISO規格やJIS規格により,広く国際的に貢献することが可能となる. 平成30年度は,順序カテゴリカルデータに対する測定精度評価法の検証,多値純粋分類データに対する測定精度評価法の確立を目指した.得られた結果について,6月にドイツで行われたISO/TC 69会議での議論を通じて,様々な順序カテゴリカルデータ解析手法に対する統計的な包括的な検討及び検証を行った.9月上旬には,イギリスで行われるIMEKO Congress(International Measurement Confederation,国際計測連合)国際会議において研究成果の発表を行い,また専門家との議論を通して多くの知見を得た.9月中旬にはカザフスタンで行われたANQ Congress(Asian Network for Quality,アジア品質管理ネットワーク総会)にて研究発表を行い,専門家との議論を通じて研究に対するフィードバックを得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は,順序カテゴリカルデータに対する測定精度評価法の検証,多値純粋分類データに対する測定精度評価法の確立を目指した.得られた結果について,6月にドイツで行われたISO/TC 69会議での議論を通じて,様々な順序カテゴリカルデータ解析手法に対する統計的な包括的な検討及び検証を行った.9月上旬には,イギリスで行われるIMEKO Congress(International Measurement Confederation,国際計測連合)国際会議において研究成果の発表を行い,また専門家との議論を通して多くの知見を得た.9月中旬にはカザフスタンで行われたANQ Congress(Asian Network for Quality,アジア品質管理ネットワーク総会)にて研究発表を行い,専門家との議論を通じて研究に対するフィードバックを得た. 以上で述べたとおり,予定していた国際会議にはすべて出席できた.そして会議や発表,そして専門家との議論を十分に行うことができた.また,平成29年度末に投稿していた論文"Application of ISO 5725 to evaluate measurement precision of distribution within the lung after intratracheal administration"も掲載にいたった. これから,研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度は,最終年度となる.これまでに得られた結果から,包括的な質的データの測定精度評価法を提案したい.質的データの測定精度評価法には,第一に二値データに対する測定精度評価,第二に順序カテゴリカルデータに対する測定精度評価,第三に多値純粋分類データに対する測定精度評価,のすべてが必要となる.質的データとしては,もっとも単純な二値データの場合からスタートする.そして,多値ではあるが順序がついている順序カテゴリカルデータ(例として製品の1級品,2級品…,成績のABCD等)の場合が次である.最後に多値純粋分類データが対象となる. 令和元年度は,順序カテゴリカルデータに対する測定精度評価法の検証,多値純粋分類データに対する測定精度評価法の確立を目指す.そしてすべての方法の比較検証,そして全体のまとめを行う.得られた結果については6月に日本で行われるISO/TC 69会議,そして8月に香港で行われるISQC 2019(XIIIth International Workshop on Intelligent Statistical Quality Control)国際会議での報告を予定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)物品費及び謝金の支出が予定を下回ったため. (使用計画)質的データ解析に係る謝金および関連する物品費にあてる.
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