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2015 年度 実施状況報告書

持続可能性を考慮した包括的な輸送・交通ネットワーク設計のための数理モデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K01212
研究機関南山大学

研究代表者

佐々木 美裕  南山大学, 理工学部, 教授 (20319297)

研究分担者 古田 壮宏  奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (60453825)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードネットワーク設計 / 航空ネットワーク / EV用急速充電器 / 配置スケジューリング / センサネットワーク
研究実績の概要

(1) 路線の開設と廃止を考慮した航空ネットワーク設計モデル
従来のハブ・アンド・スポーク型のネットワークとは異なり, ハブ空港の設置は前提とせず, 利用者の増加が見込まれる路線の開設と採算の取れなくなった路線の廃止を繰り返すことによって航空ネットワークを構築するモデルを提案した. 提案するモデルには, 乗り換えによって生じる迂回距離を考慮した乗り換えコストを導入した. これにより, 利用者の視点も考慮したネットワーク設計が可能となった. 計算実験の結果, 乗り換えコストが最適なネットワークに大きな影響を与えることを確認した. また, 提案するモデルから得られる最適ネットワークにおいて, ハブ空港の役割を果たす空港が現れる例が見られることを示した.
(2) 電気自動車用急速充電設備最適配置スケジューリング
充電設備を多期間にわたって順に設置する際の最適な設置順を求めるモデルの改善を行った. 充電のために遠回りをすることは利便性を著しく低下させるため, 従来型自動車で移動する場合と比較して移動距離が一定以上長くなる場合は, 電気自動車は利用されないと仮定し, 近距離移動のみを対象としたモデルと遠距離移動も含めたモデルを提案した. また, モデルの解を求めるための貪欲算法を提案した. 計算実験の結果, 設置順の違いが利用者の利便性に大きく影響を与えることを確認した. さらに人口分布の違いが設置順に与える影響を分析するために複数の人口分布データを作成して計算実験を行った.
(3) センサネットワークの送信スケジューリング
インフラ整備に関連するネットワーク設計の研究として, センサネットワークにおける送信スケジュールの最適化モデルとその解法の提案を行った. これにより, 干渉によるデータ受信の失敗を防ぎ, 最短時間で全データを基地局に送信するスケジュールを求めることが可能となった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1) 路線の開設と廃止を考慮した航空ネットワーク設計モデル
これまでの成果を論文としてまとめ, 南山大学紀要「アカデミア」理工学編に投稿し, 2015年3月に掲載された. 2016年6月にハワイで開催されるINFORMS International MeetingのLocation Analysis セッションで発表する予定である. 競合を考慮したモデルまでは進まなかったものの, 計算実験も順調に進み, 全体としておおむね順調である.
(2) 電気自動車用急速充電設備最適配置スケジューリング
これまでの成果を, 2015年7月に神戸で開催された国際スケジューリングシンポジウム(査読付き国際会議)にて発表した. 充電設備に立ち寄るために発生する迂回距離を考慮してモデルを改善し, 充電設備の設置順最適化の重要性を示せたことは成果のひとつであり, ほぼ予定通りに研究が進んでいる.
(3) これまでの成果をJournal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing の特集号"Advanced Production Scheduling" に投稿し, 採択された.

今後の研究の推進方策

(1) 路線の開設と廃止を考慮した航空ネットワーク設計モデル
これまでに提案したモデルをベースとして他社との競合を考慮したモデルとその解法を提案する. 計算実験により, 競合他社が存在する場合とそうでない場合の最適なネットワーク設計の違いを明らかにすることによって, 双方が利益を生み出しながら利用者にとっても利便性の高い持続可能なインフラ整備に必要な要因を明らかにする.
(2) 電気自動車用急速充電設備最適配置スケジューリング
電気自動車の航続距離は, 技術の進歩により年々長くなっている. また, 個人所有の電気自動車用充電器も普及していくと考えられる. そこで, 将来的に航続距離が長くなり, 個人用充電器の普及率が高くなることも考慮し, 無駄のない持続可能な充電設備のインフラ整備を目的とした実用的なモデルの構築を進める.

次年度使用額が生じた理由

当初の予定では, 計算結果を表示するための地理情報ソフトウェアを購入予定であったが, 現状ではフリーソフトで十分対応できることがわかったため, 購入を見送った. その代わりに, 計算に使用するデータを新たに購入することを検討し始めたが, 2015年度中に適切なデータが見つからなかったために当該助成金が生じることとなった.

次年度使用額の使用計画

実験用の仮データを用いて改善したモデルの解を求めることを反復し, 計算結果を分析しながら, 実験に用いる適切なデータを見極めて購入する予定である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] 路線の開設と廃止を考慮した航空ネットワーク設計モデル2016

    • 著者名/発表者名
      大庭大樹, 佐々木美裕
    • 雑誌名

      南山大学紀要「アカデミア」理工学編

      巻: 16 ページ: -

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] TDMA scheduling problem avoiding interference in multi-hop wireless sensor networks2016

    • 著者名/発表者名
      Mihiro Sasaki, Takehiro Furuta, Takamori Ukai, Fumio Ishizaki
    • 雑誌名

      Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A scheduling problem for locating EV battery charging stations2015

    • 著者名/発表者名
      Mihiro Sasaki, Kazuya Matsui, Ken-ichi Tanaka
    • 雑誌名

      Proceedings of International Symposium on Scheduling 2015

      巻: - ページ: 132-135

    • 査読あり
  • [学会発表] Airline network design model based on point-to-point services2016

    • 著者名/発表者名
      Taiki Oba, Mihiro Sasaki
    • 学会等名
      INFORMS International Hawaii, 2016
    • 発表場所
      神戸産業振興会館
    • 年月日
      2016-06-12 – 2016-06-12
    • 国際学会
  • [学会発表] A scheduling problem for locating EV battery charging stations2015

    • 著者名/発表者名
      Mihiro Sasaki, Kazuya Matsui, Ken-ichi Tanaka
    • 学会等名
      Intenational Symposium on Scheduling 2015
    • 発表場所
      神戸市産業振興センター
    • 年月日
      2015-07-05 – 2015-07-05
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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