研究課題/領域番号 |
15K01216
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
椎原 正次 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (10268229)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ジョブショップスケジューリング / ロット分割 / メタヒューリスティクス |
研究実績の概要 |
生産スケジュール改善サイクルは、受け入れ可能な生産スケジュールを柔軟に得るための概念であり、ロット分割とメタヒューリスティクスによるスケジューリングを基調としている。ロット分割は総所要時間の短縮だけでなく、納期順守に対してもよい影響をあたえることが分かっている。しかしながら、ロット分割は処理すべきロット数を増やしてしまうことになり、その結果、段取り回数を増加させるとともにスケジューリング問題を複雑にしてしまう欠点がある。そこで、分割数を抑えるために分割効果の大きいロットの選定方法や効率のよいスケジューリングのためのメタヒューリスティクスの開発が重要となる。 すでに、前年度の研究により総所要時間の短縮を目的とした生産スケジュール改善サイクルの基本モデルは完成していた。当該年度では、まず、得られたスケジュールをモニタ上でガントチャートとして表示させ、目視によって最終調整ができる機能を追加した。そして、総納期遅れを評価尺度に加えた多目的な生産スケジュール改善サイクルに拡張した。このために、①納期遅れの短縮に効果的なロットの選定方法、②多目的な探索を効率的に行える遺伝的アルゴリズム、③スケジューリング後に段取り回数を軽減するための手順、④作業の到着前の段取り替えアルゴリズムの開発を行った。特に②では、スケジュール生成時の一部でSLACKルールの導入と多目的化のための世代交代などを検討した。これにより、パレート解が得られるようになった。さらに、さまざまな数値実験を実施することで、開発された生産スケジュール改善サイクルの有効性と性質を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
総所要時間と総納期遅れの最小化を図った生産スケジュール改善サイクルの開発が概ね完了している。数値実験による評価も実施していることから、順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
生産スケジュール改善サイクルの開発は、概ね完了した。そして、数値実験による評価も実施した。総所要時間と総納期遅れの最小化を目的とした多目的スケジューリングを柔軟に実施できる。しかし、数値実験の結果から、サイクルの一部に改善すべき項目が発見されている。例えば、遺伝的アルゴリズムにおける遺伝的操作の方法などである。また、遺伝的アルゴリズムとは別にタブーサーチのアルゴリズムも開発済みである。このアルゴリズムに置き換えることで、生産スケジュール改善サイクル全体の性能の向上を検討する必要がある。そして、再度、数値実験を実施して再評価を行う。 また、これまでの成果をまとめて、論文誌に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度に計画していた予算は執行した。しかし、旅費については所属機関の研究費を使用したために、2015年度分からの繰越金が使いきれなかった。また、プログラム開発と数値実験のための実験補助は、繰越す結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度は、引き続き、プログラム開発と数値実験を計画している。それを実現するために実験補助を雇い助成金を使用する予定である。
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