製造業において設備の稼動率向上や納期遵守は重要な課題であり、受け入れ可能な生産スケジュールを迅速に策定できることが望ましい。この問題に対してロット分割とスケジューリングの両方からアプローチできれば、よりよい生産スケジュールを柔軟に作成することができる。そのために、ロット分割と遺伝的アルゴリズム(GA)によるスケジューリングを繰り返す多目的な生産スケジュール改善サイクルを開発した。生産スケジュール改善サイクルは、1.分割するロットの選定(フェーズⅠ)、2.GAによるスケジューリング(フェーズⅡ)、3.段取り時間の改善処理(フェーズⅢ)、4.目視によるスケジュールの改善(フェーズⅣ)の四つのフェーズを繰り返す。 ロット分割を繰り返すにしたがって、さまざまな評価尺度に対してよい影響を与えるが問題点もある。分割によるロット数の増加に伴って、総段取り回数と総段取り時間を増やす結果になってしまう。またスケジューリング問題および生産統制を複雑にしてしまう。そのために、分割効果が高まる方策を検討・導入することで、はやい段階で受け入れ可能なスケジュールが得られなければならない。 このような課題を解決するために、1.分割効果の最も大きいロットの選定方法、2.総段取り時間の増加を抑えることができるスケジューリング手法、3.納期順守に効果的なスケジューリング手法、4.総納期遅れ時間と総経過時間の多目的最適化を図る方法、5.スケジューリング後の段取りの改善方法、6.生産スケジュールをドラッグアンドドロップで調整できるガントチャート描画システムの開発、7.タブーサーチを用いたスケジューリング手法について研究した。 以上の成果により、効率のよい生産スケジュール改善サイクルが完成した。
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