研究課題/領域番号 |
15K01229
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
清田 高徳 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (00195405)
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研究分担者 |
南山 靖博 有明工業高等専門学校, 機械工学科, 助教 (20549688)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 制御工学 / パワーアシスト / メカトロニクス / 安全工学 / 空気圧人工筋 |
研究実績の概要 |
1.空気圧ゴム人工筋2リンクマニピュレータの持ち上げ制御に関する研究:申請者らが研究を進めているパッシブダイナミック制御(PDC)を適用した空気圧ゴム人工筋2リンクマニピュレータ実験装置を用いて、提案した改良PDCの有効性を確認した。本研究成果を元に、PDCの新たな展開を検討している。 2.上下方向パワーアシストシステムの開発:開発を目指す装置は、重量物に直接手で力を加えることで上下方向の移動を実現するダイレクトハンドリング可能な装置である。PDCに基づき、受動要素であるばねを使用し、ばねのトルクと対象物によるトルクとが釣り合っている平衡状態を基本状態とする。ばねによる平衡状態であるため、高負荷の対象物であっても、小さな操作力で変位させることができる。その変位から移動方向を検出し、モータを制御することで、通常の定トルク装置と同様の動作を実現する。さらに、ブレーキ機構によって停止と位置保持を行う。これまでの研究成果に基づき、本年度は、巻きばねを用いる装置を新たに製作した。さらに、研究協力者の杉本旭氏(当時、明治大学)が開発したコイルばねを用いる装置を引き継いだ。これら2種類のパワーアシスト装置の評価実験を行い、基本メカニズムの有効性を確認した。 3.力センサを用いるシステムとの比較検証:パワーアシストシステムの多くは、装置にロードセルなどの力センサが使われている。しかし、力センサは一般にノイズの影響を受けやすく、信頼性に問題がある。また、対象物の質量が大きいと手で加える操作力も大きくなる。開発した回転ポテンショメータを用いるシステムと、従来の力センサを用いるシステムとの比較検証実験を行い、有効性と問題点を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.PDCを包含する安全な制御に関する理論の構築:パッシブダイナミック制御(PDC)を発展させた改良PDCの有効性を、2リンク空気圧人工筋マニピュレータの持ち上げ制御により、検証した。さらに、研究協力者の杉本旭氏らが提唱している本質安全制御とPDCの関係について考察を行った。 2.鉛直上下方向パワーアシストシステムの開発と評価:「研究実績の概要」で述べたとおり、これまでに2種類のばねを用いた実験装置を開発し、それぞれで基本メカニズムの有効性を確認した。力センサを用いる装置との比較実験により、安全性評価も行った。コイルばねを用いる装置は開発の手間が省けて、当初の計画よりも進んでいる。 3.パワーアシストシステムの搬送装置への応用:コイルばねを用いる基本システムを、水平搬送装置へ適用した。まず、上下方向パワーアシスト装置を、水平方向の移動にも対応できるように改良し、基本設計と装置の製作を終えた。動作確認はこれからであるが、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1.上下方向パワーアシスト装置の評価と改良:ばねを用いる2タイプのシステムとロードセルを用いるシステムの詳細な評価を行う。その結果に基づき、装置の小型軽量化に取り組む。 2.水平搬送システムの開発:まず、試作した台車を用いて、基本メカニズムの有効性を検証する。続いて、問題点を明らかにし、システムの改良に取り組む。 3.空気圧ゴム人工筋マニピュレータの重量物持ち上げ制御に関する研究:現有の2リンクマニピュレータは構造上の問題が見付かったため、改良を行う。重量物を取り付けた軌道追従制御実験により、改良PDCの有効性を評価する。 4.PDCを包含する安全な制御理論の構築:研究協力者の杉本氏らが提唱している本質安全制御や監視調整制御とPDCの関係について検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
部品を購入して試作品を設計する計画であったが、研究協力者から、同じ原理に基づく同等品を譲り受けることができたため、製作することなく基本システムの評価を行うことができた。
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次年度使用額の使用計画 |
試作品の評価に基づいて、小型軽量の改良品を開発する。
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