研究課題/領域番号 |
15K01230
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 宏典 日本工業大学, 工学部, 准教授 (20426258)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 車群状態推定 / 多重追突事故防止 / 状態推定 / アンセンティッドカルマンフィルタ / パーティクルフィルタ |
研究実績の概要 |
車群走行状態の推定において、先行車及び先々行車への追従挙動モデルを推定システムに含める有効性は既に確認済みである。しかし、車群走行状態の推定精度の向上を目指すためには、ドライバの反応時間を無視することはできない。今年度、実際にドライビングシミュレータ及びテストコースで取得した一部のデータを利用し、最大で1.5s分の反応時間を考慮できる推定システムへ改良することに成功した。 推定システムの状態方程式は、車間距離の保存則及び反応時間を考慮した追従モデルを含む速度更新式とした。最大で1.5s分の車間距離及び速度を含めた状態変数へと拡張することで反応時間の考慮が実現した。また、一台の車両で先行車と後続車の車間距離計測が可能であることを前提に、観測方程式は、車両の前後の車間距離と速度の計測式とした。 推定システムは、従来から利用し続けているアンセンティッドカルマンフィルタ(UKF)、パーティクルフィルタ(PF)とし、非線形性の高い追従モデルを含む推定システムに対して、その精度向上が望まれる手法を継続して採用した。3台の車群を対象とした数値計算を実施した結果、反応時間を考慮した追従モデルを推定システムに含めることにより、その推定精度が向上することが一部データより明らかとなった。 カーブ走行への対応については、速度ベクトルを縦方向と横方向で合成することで簡便に対応できる道筋が整った。このため、学会等で収集した情報及び各方面の研究者のアドバイスも参考にし、当初平成29年度に予定していた「ドライバの操作意図(加速・減速操作や交差点の通過・停止意図)を推定してこれを推定システム内に含める試み」を一部先取りして実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反応時間を考慮した推定システムへの拡張に成功し、一部データによる精度向上が確認されたため、概ね順調に進行していると判断される。また、平成29年度のテーマを一部先取りして実施しており、部分的には当初予定に比べて若干早いペースでの進捗となっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、推定システムに包含される追従モデルを、従来のGHRモデルに加えて人工ニューラルネットワークモデルとしてモデリングと数値計算を行う。また、テストコース上で得られた豊富な実データを用いて推定精度の検証を行う。このデータにはカーブ走行への対応も含む予定である。平成29年度は、今年度一部を先取りして実施した意図推定の精度を向上させ、平成28年度に継続して整理する予定の実データを基にこれを検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行した。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含めて当初の予定通り研究計画を着実に実行していく。
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