研究課題/領域番号 |
15K01245
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
藤縄 明彦 茨城大学, 理学部, 教授 (10143140)
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研究分担者 |
伴 雅雄 山形大学, 理学部, 教授 (50208724)
大場 司 秋田大学, 国際資源学研究科, 教授 (10272014)
長谷川 健 茨城大学, 理学部, 准教授 (00574196)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 火山 / 噴火 / 減災 / 自然災害 / 地質学 / 岩石鉱物学 |
研究実績の概要 |
火山爆発現象の時間空間解像度を上げた復元を行う事により,爆発的噴火による噴出物の移動,堆積モデルを構築する事を目的に,歴史時代の水蒸気爆発の高解像度解明と,巨大爆発的噴火の定量化とを二本の柱として,地質学的研究を行うことが本研究の課題である. 平成28年度は前年度の成果を踏まえ,水蒸気爆発事例の調査,堆積物の解析の対象を更に広げ,流動堆積モデルの更なる定量化を試みた. 蔵王火山では,山形大学,伴教授を中心とした研究班により,13世紀末から19世紀にお釜周辺で繰り返し発生した水蒸気爆発の個々の噴火について,その概要を解明した.そのうち18世紀末から19世紀初頭にかけての一連の噴火については,今回古文書との照合を行う事により,従前以上の高解像度の噴火史が復元できた. 栗駒火山,吾妻火山では,水蒸気噴火の噴火史と機構解明のために,当該噴出物の現地調査,並びに噴火堆積物の分析・解析を,茨城大学及び秋田大学で行った.今年度は吾妻火山の現地調査と火山灰粒子の構成鉱物等の解析が加わった.秋田大学大場教授による栗駒火山の火山灰解析では,1944年栗駒火山噴火時,300m以深に発達する大規模深所熱水系の伏在が示されたが,吾妻火山においても,少なくとも1331年以前までの約4500年間は同様の熱水系の存在が想定できる事が判明した. 大規模噴火については,主担当の長谷川准教授が,ニュージーランド,タウポ火山の現地調査を行い,詳細な噴火史を明らかにしつつある.更に,同火山先行研究のレビューを行うと共に,鳴子・鬼首火砕流噴出物のデータとの比較研究を進め,その類似性と特異性をもとに,大規模噴火の推移に関する新たな知見を見いだしている.その一部はすでに公表が決定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水蒸気噴火に関しては栗駒火山に加え,前年度立ち入り規制のために調査不能だった吾妻火山の現地調査が行われ,基礎的な噴出物データが順調に出されてきている.蔵王火山の噴火史解明が,過去800年と,当初予定以上の時間範囲で,しかも高解像度で解明されつつある.ニュージーランドのタウポという,大規模噴火の典型とも言える噴火堆積物を実際に調査できるという予想以上の展開が大規模噴火では得られた.以上のことから,当初計画とは若干異なる進捗を見せているが,最終目的に向かってほぼ順調に進んでいると判断される.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画は,当初計画の3年目以降と大幅に変更する必要はないと思われる.ただ,現地調査が不十分と思われる火山については今年度も引き続き現地調査を行っていく事が望ましい.また,歴史噴火に関する記載については,協力者による古文書データの収集,解析も,今年度,更に進める必要がある. また,長谷川が担当する有珠2000年噴火堆積物の本格調査,検討は,今年度実施することになる.大場により,御岳2014年噴火の火山灰解析が行われ,水蒸気爆発の移動,堆積機構を検討に非常に有用なデータがもたらされた.これらの比較検討も積極的に行っていきたい. また,大規模噴火に関しては,ニュージーランドにおいて長谷川がかなりの時間をかけて実地調査ができたため,このデータ整理と検討が研究推進の鍵となろう,すでに予備調査で得ている鳴子・鬼首火砕流噴出物のデータも整理し,これらの比較検討から,大規模噴火についてのモデル検討も進めていくことが期待できる.今年度は鳴子・鬼首の詳細調査も行う予定である. 各研究者とも,真摯かつ順調に研究を遂行している.学会等でのデータ交換や情報交換を密に行い,着実に基礎データを充実させる.モデル構築に向けては,更なるデータ補強と意見交換を活発に行っていくことが肝要と思われる.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度,大規模噴火担当の長谷川がニュージーランドで1年間研究できることとなり,現地での調査研究が可能となる,本研究にとっては望外のチャンスを得た.このため,ニュージーランドでの調査費に重きを置いて優先的に執行し,当該年度における国内の調査研究による出費を抑制し,一部,次年度へ繰り下げる対策をとった.このために,結果的に藤縄による予算執行が抑制されたことで次年度使用額が生じることとなった.
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次年度使用額の使用計画 |
前年度抑制した藤縄を中心とした調査,研究計画を,今年度早期に実施することとなっており,順調に予算執行ができる予定である.
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