研究課題/領域番号 |
15K01250
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
香川 敬生 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50450911)
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研究分担者 |
古川 愛子 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (00380585)
浅井 秀子 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10331810)
野口 竜也 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20379655)
西田 良平 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (90027269)
向坊 恭介 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80512748)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 1943年鳥取地震 / 地表地震断層 / 断層変位 / 強震動 / 建物被害要因 |
研究実績の概要 |
1943年鳥取地震直後の調査等で地表地震断層が確認された鳥取市鹿野町の複数地点において,断層を横断する測線で常時微動の稠密観測を実施した。その結果,堆積層で一般的に見られる地盤に固有の卓越周期を示すH/V(水平/上下)スペクトル比のピークが,地表地震断層が見られたごく近傍で不明瞭になる現象が見られることが分かった。(野口・香川,日本活断層学会秋季学術大会,2016年10月)この他,鳥取市鹿野町に現存する当時の建物の寸法計測を実施した。 本研究では,1943年鳥取地震時の鹿野町において,地表地震断層出現地点の家屋には断層変位による被害が見られるものの地震動による被害は軽微と考えられる一方,地表地震断層から離れた市街域では強震動による家屋倒壊が多数見られたことの原因を探ることをテーマとし,過去に同様の現象を生じた地震との対比も想定している。2016年4月に発生した熊本地震でも,地表地震断層ごく近傍では地震動による被害が軽微であると考えられる地域が多く見られた。このため,地表地震断層と被害との関連を追うことができる最新の地震として急遽現地調査を実施した。地表地震断層が見られたものの震動被害が小さい地点と断層からやや離れて家屋倒壊が見られた地点で余震観測を実施し,地表地震断層近傍での揺れの方が小さいものの,被害状況から推定される震度差ほどは小さくなく,本震時には別のメカニズムが作用した可能性が示唆された。また,常時微動の稠密観測を益城町に生じた地表地震断層を横断して実施し,鳥取市鹿野町と同様に断層ごく近傍でH/Vスペクトルのピークが不明瞭になることを確認した。一方,地震断層端部の南阿蘇村では地表地震断層ごく近傍で地震動による被害も見られ,そのような地点ではH/Vスペクトルにピークが見られることが分かった。(香川・他,土木学会論文集A1,2017年印刷中)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地表地震断層ごく近傍で地震動による被害が小さい場所での地盤振動特性には,地震動による被害が顕著な場所に比べて特徴的な卓越周期が見られないという特徴を見出すことが出来た。1943年鳥取地震と対比することが出来る他の地震として,2016年熊本地震の現地調査をおこない,両地震の地表地震断層ごく近傍において共通の現象が生じた可能性について把握することができた。この点については平成29年度実施内容を先取りして実施できたことになるが,1943年鳥取地震の震源断層の分析,当時と同様の家屋の振動特性の把握とそのモデル化については平成28年度中には完了できず,平成29年度開始早々に継続実施しており,やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1943年鳥取地震の震源断層破壊および対象とする鹿野町域の地下構造をモデル化し,地表断層出現位置での断層変位と地震動,また鹿野市街域の建物倒壊域での強震動を推定する。このため当時のアンケート震度を再整理して広域の地震動分布を明らかにし,平成28年度までに実施した地下構造調査結果をGISに取り込んで地下構造の把握をおこなう。 得られた断層変位と地震動が当時が当時の建物に及ぼす影響を検討し,被災状況の再現を試みる。このため当時の建物での常時微動計測から震動特性を把握し,モデル化をおこなう。 得られた結果および熊本地震の調査から得られた知見より,横ずれ断層端部における地表断層変位と強震動の特性についてとりまとめをおこなう。 得られた調査データをGISに取り込み,成果は学術論文等に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担金として,2016年9月に京都大学へ256000円を配分した。
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次年度使用額の使用計画 |
上記金額は京都大学において使用予定。
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