本研究は御嶽山の2014年の噴火で大きな被害を出した噴石の運動メカニズムについて画像解析のデータおよび技術を駆使して解析を行い、重要な知見を得ること、そしてそれを防災対策に活かせる形にすることが目的であった。 本研究では御嶽山における野外調査や写真等から噴火当時の状況を把握した。また、数値モデルを改良して、地形によって噴石の着地地点の分布が異なる様子を再現できるようになった。この、改良された数値モデルを用いて行ったミュレーションの結果を観測された噴石のインパクトクレータの分布と比較することによって、噴出時の射出角、報告、噴出速度などを明らかにすることができた。 また、2015年には阿蘇山においてストロンボリ式噴火における噴石の運動をビデオと空振・地震によって観測し、御嶽山などの水蒸気噴火とは違うマグマ噴火の噴石の運動メカニズムを調べることができた。この際にも画像解析の技術を駆使することで、噴火が起こっている際の噴石の運動をとらえる技術を開発することもできた。 開発された数値モデルは、ニュージーランドの共同研究者らの要望もあり、グラフィックユーザーインターフェース(GUI)を付けたソフトウェア"Ballista"とし、Web上で公開している。このソフトウェアを用いたワークショップが2015年にニュージーランド(NZ)のトンガリロで行われ、NZ全国から研究者が集まって使い方を学ぶとともに、噴石を放出するような噴火においてどのような野外調査を行い、Ballistaを活用していくべきかの議論が行われた。そしてNZや日本において、Ballistaは防災研究やハザードマップの作成など実際の防災の現場において活用されている。
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