研究実績の概要 |
平成27年度は、試験流域におけるこれまでの土砂移動計測結果の分析から以下の成果を得た。 2003年(24時間雨量322mm)と2006年(同311mm)の大雨でそれぞれ54,000m3、30,000m3の大規模な土砂堆積が発生し、それ以外の年には毎年4,000~8,000m3の洗掘が進行した。しかし、2012年からは毎年1,000~2,500m3の洗掘量に減少した。大雨年以外の各年において降雨に大きな差異はないことから、近年の洗掘量の減少は外力(雨)の変化でなく、場(河床)の変化によると考えられた。この間の河床変動を上・下流で比べると、堆積規模も大きかった上流で初めの約5年間洗掘が活発で、その後は停止しており、下流でも次第に洗掘の規模が低下してきたが、近年も小規模な洗掘は継続している。 洗掘に伴う河床横断形の変化について、上流では平坦河床から溝状に掘り込みが始まり、最低河床高が低下し流路断面も拡大していき、4~5年間経過後に変化が停止した。下流では時間経過と共に流路断面が拡大するように洗掘が進んでいるが、上流と比べその進行程度は小さく、また上流からの土砂流入によって堆積が生ずることもあり、河床低下や流路拡大が僅かであるが現在も継続している。河床堆積土砂の粒径変化については、堆積イベントによって細粒分の多い土砂で河床が満たされ、その後河床洗掘が進むとともに粗粒化が進んだ。その変化は上流では4~5年で停止し、下流では現在も継続している。
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