豪雨により多数の崩壊が発生し,その生産された土砂が渓流の上流区間に大量に堆積した流域では,その後数年間,堆積土砂が活発に洗掘され,その後沈静化する。この一連の経過を実際の渓流でモニタリングし,土砂の洗掘がいつまで続き,なぜ沈静化するのかを調べた。その結果,平年並みの降雨状況でも洗掘が活発に起こり,5年後に沈静化した。5年間での土砂減少量は堆積で増加した土砂量とほぼ近似していた。水理学的な検討から,洗掘が沈静化した理由は,細粒土砂が流されて粗粒土砂が多くなったことと,河床横断形が水を安定して流すことのできる形・大きさに変化したことであると推察された。
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