1)津波対策施設の計画・設計法の開発 ①通常のPCを用いて、広範囲・小格子間隔での予測計算を実行できるように、山本ら(2009)が開発した平面二次元の地形変化予測数値モデル(防潮林の低減効果と構造物の有無を考慮できる)の入出力法を簡便にして、マニュアルも作成したので、近日中に一般公開すべく準備中である。②Ribberink(1998)の掃流砂量算定式の補正係数を、底質の中央粒径、均等係数などによって決定できる算定図を提案し、2011年東日本震災による宮城県での津波被害に対する検証に基づく、海岸堤防・避難マウンド周辺での洗堀予測結果を2018年6月のISOPE国際会議で発表予定(決定)であり、さらに、発展内容を土木学会論文集B2に投稿中である。したがって、堤防の安定性と洗掘状況を考慮しながら、各種対策工による被害低減効果を評価できる数値モデルを造り上げたと言える。 2)高波による洗掘・吸出し対策法の開発 ①学生と共に、裏込め材の中央粒径の違いを考慮して、堤体からの吸出し量を予測できる算定式とCADMAS-SURFとの組合せ計算法を発表していたが、現地海岸でも使える様に改良した算定法と吸出し対策法を2015年の土木学会論文集B2で発表した。また、裏込め材の均等係数と乾燥密度の影響も考慮できる算定式と、前述の組合せ計算法の改良法を、2016年の土木学会論文集B2で発表した。さらに、通常のパーソナル・コンピュータを用いて準三次元的に時々刻々の吸出し量と吸出し断面を予測できる数値計算システムも構築した。現地海岸への適用結果を土木学会論文集B2へ投稿中である。②洗掘量を簡便に推定できる算定図も作成し、2015年の土木学会論文集B2で発表した。したがって、三面張り堤防や二面張り護岸に対する効果的な洗掘・吸出し対策検討を可能にする手法を準備出来たと言える。
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