研究課題/領域番号 |
15K01266
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
尾崎 平 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (40351499)
|
研究分担者 |
石垣 泰輔 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (70144392)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | レジリエンス / 都市水害 / 複合災害 / シナリオ分析 |
研究実績の概要 |
本研究では,将来の時間軸の中における不確実性のある複合災害リスクと人口減少,地域コミュニティの衰退に伴う社会リスクを考慮したレジリエントな社会を目指し,多様なシナリオに基づく戦略的な事前・事後の防災・減災計画を支援するために各フェイズ(短期,中期,長期)に対応したプロセスモデルを構築することを目的としている.平成28年度は,水害時の浸水深や浸水範囲を算定するモデルを発展させ,人的被害を推定できる避難シミュレーションや被害額の算定モデルを検討した.さらに時間軸と対策軸の2軸をとり,その中に短期,中期,長期およびハード,ソフトの各種の対応をプロットし,複合災害リスクに対する適応策を検討・立案した. 地球温暖化の影響により豪雨の規模や起こりやすさが変化していく中で,豪雨から人々の暮らしや都市をまもるためには,雨水制御システムの単なる技術開発,制度設計に留まるのではなく,社会的ニーズや市民ニーズに対応した目標設定のもと,①問題の同定,②分析,③評価,④対応行動,⑤モニタリング,⑥レビューを循環的に行うRisk-basedなアプローチを実践していくことが肝要であることを示した. また,大阪府梅田地区を対象とした複数災害のシミュレーションを実施し,外力,種類の違いによる安全避難の定量的評価,地下空間においては地下鉄に与える影響についても明らかにした.さらに防災/減災対策として,管渠内水位観測による止水板設置による効果を定量化した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,水害時の浸水深や浸水範囲を算定するモデルを発展させ,人的被害を推定できる避難シミュレーションや被害額の算定モデルを構築した.また,複合災害リスクに対する適応策を検討・立案したため
|
今後の研究の推進方策 |
複合災害に対するレジリエンス戦略に関するロードマップ作成を支援するモデルを検討する. i)時間軸を考慮した適応策の組合せ効果の定量化 複合災害シナリオを検討し,平成28年度に構築したモデルを用いて,複合災害により想定される2050年の社会への影響を定量化し,社会的意味づけをリスク論的思考に基づき考察する.また,適応シナリオとして,現状の社会インフラ,制度による対応を行った場合(BaUシナリオ)ならびに類型化した政策,技術等の組み合わせによる対策シナリオを複数設定した場合の効果について考察を行う. ii)フェイズ別の戦略的レジリエンス政策の提案 i)で定量化,評価した結果をもとにフェイズ別(短期,中期,長期)の戦略的レジリエンス政策を提案する.適応策の組合せ効果もフィードバック評価を行い,その妥当性,有効性を検証しながら,レジリエンス政策としての有用性を評価する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
2016年に投稿を予定していた国際学会の日程が公務のため参加できず,2017年の国際学会にて成果を発表するため.
|
次年度使用額の使用計画 |
2017年に国際学会での成果発表を行うことで使用する. また,最終年度であることから,国内の学会において成果発表を既に2件予定しており,さらに現在1編を執筆中である.そのため,成果発表に関する費用,研究補助のアルバイト代にて,使用する予定である.
|