研究課題/領域番号 |
15K01267
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研究機関 | 函館工業高等専門学校 |
研究代表者 |
平沢 秀之 函館工業高等専門学校, 社会基盤工学科, 教授 (90238353)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 応急橋 / 木橋 / トラス橋 / 折り畳み / ウォームギア |
研究実績の概要 |
(1)屋外環境での使用による木材の健全度調査 登山道に移設された支間長10メートルの木製ワーレントラス橋の床版に使用された製材の健全度を調査した。この部材は5年間屋外で使用され、端部に腐朽箇所が認められたため、目視による劣化度判定を行った。その結果、劣化度A~Dの4段階評価のうち、腐朽の進んだA及びB判定を有する部材が床版全体の9割以上であることが判明した。また、この腐朽は床版を支持する箇所においてのみ発生し、その箇所に水が溜まりやすい構造になっていることが原因であることを突き止めた。 (2)折り畳み木製トラス応急橋模型の改良 折り畳み式木製応急トラス橋の模型供試体の展開動作を行うための機械的装置を開発した。27年度までは展開方法としてマジックハンド(パンタグラフ)構造を橋梁下部に取り付け、そのマジックハンドの端部を手作業で開閉して、橋梁本体の展開・折り畳みを行っていた。28年度は、マジックハンド端部の開閉動作を、強力なギアーボックスを組み込むことによってギアの回転運動により、小さい力でスムーズに展開・折り畳みができるよう改良した。ギアボックスは、ウォームギアとウォームホイール、平歯車、ハンドルから成り、ハンドルを回転させると、一組のウォームギアとウォームホイールに伝達され、その回転が、マジックハンドの展開動作に伝達される仕組みとなっている。ハンドルの回転は平歯車を介してもう一組のウォームギアとウォームホイールに逆回転で伝達され、2本のマジックハンドを同時に動かすことができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までに5分の1スケール模型の製作は完了しており、展開・折り畳みの動作確認も完了している。固定端構造は大型の三角フレームを使用することにより、片持ち状態における固定端曲げモーメントに抵抗できることが実験的に判明しているが、安全率がどの程度かまでは判明していない。圧縮部の弾性横倒れ座屈に対する対策案として、横桁を上弦材に取り付ける案(5分の1模型で採用)と、床版の位置を下弦材よりやや上方に設置する案を検討しており、今年度中には明らかにできる予定である。また、ギアーボックスの設置による動作確認が昨年度中に完了し、この進捗は大きな成果と捉えることができる。以上により、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は人間が歩行できる折り畳み式応急橋を製作する。当初の計画では、実物大模型を製作する予定であったが、実験室において、製作スペースと保管場所の確保が困難であることから、多少スケールダウンさせ、2分の1~1.5分の1程度の大きさに変更する。サイズの変更のみで、構造形式や実証実験の内容に変更はなく、歩行者が通行できる強度を保有させるため、当初予定の成果を得ることが可能である。以下の手順で研究を進める。 (1)全体構造・接合部・ギヤーボックスの設計 (2)床版構造の設計 (3)模型製作 (4)展開・折り畳み動作試験 (5)歩行試験
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